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人材派遣会社を対象にした初の認定制度が発足

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 人材派遣や請負、紹介などの企業で構成する一般社団法人・人材サービス産業協議会(東京・千代田)は今秋、人材派遣会社を対象にした初の認定制度を設ける。有識者でつくる第三者機関が派遣従業員の待遇改善やキャリア支援体制などを認定する。来春にも見込まれる労働者派遣法の改正を見据え、適正な従業員管理を派遣会社に促す。
認定制度では派遣従業員に社会保険への加入を促しているか、研修制度を整えているか、処遇の改善に努めているかなど約100項目の審査基準を設ける。協議会などが審査し、学識経験者らで構成する第三者機関が最終的に認定する。
派遣会社はホームページでの掲載など認定マークの使用が認められる。秋から応募を受け付ける。認定作業には約3カ月かかり、数十万円の申請料が必要。協議会は年間に100社程度を認定したい考えだ。(日本経済新聞 4月21日

認定制度が行政主導で行なわれると、認定を下す天下り団体の利権に落ち着くが、この取り組みは民間主導によって人材派遣の健全化を促す趣旨である。第三者機関が認定を行なうので、協議会の理事企業との利益相反は調整されるようだ。

この認定を取得した企業に派遣依頼が集中すれば、一定の効力を発揮するだろうが、同時に人材紹介会社についても認定制度を創設してほしいものだ。人材紹介会社に頼らざるをえないほど人手不足が続く看護師の採用については、看護師と医療機関が人材紹介会社の手玉に取られていると言えなくもない。人材紹介を業としながら、転職促進に暴走する紹介会社がいかに多いことか。
看護師の紹介会社に認定制度を設けるときには、同業者で構成された人材サービス産業協議会でなく、利用者側の団体である日本看護協会や日本医師会などによる認定が望ましい。利用者の論理で審査されれば、認定に信頼性が担保される。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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