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エン・ジャパン、特別損失の計上で下方修正

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エン・ジャパンは2014年3月期の連結業績予想を発表した。売上高は前期比20%増の163億円、経常利益は12%増の32億8000万円。当期純利益は73%増の26億7900万円だが、従来予想の29億円から下方修正した。就職情報サイトの終了によって、3億6000万円の特別損失を計上することが下方修正の理由である。(エン・ジャパンIR要約 2月24日)

この業績予想発表の翌日、全国紙にエン・ジャパンのメッセージ広告が掲載された。
以前にも掲載された広告と同じもので、「人をモノのように見立て、右から左に都合よく安易に話を選ばせるような流れ作業的なビジネスを、私たちエンは『人材紹介業』とは呼びません」。ごもっともだが、挑発的である。

エン・ジャパンの真意はわからないが、人材を右から左にひたすら流しまくってきたのが一部の看護師紹介会社である。
もちろん一に紹介会社の商業道徳が問われるが、問題はそれだけではない。
看護師紹介業が国策に翻弄されたビジネスであることにも、目を向けなければなるまい。
2006年にさかのぼる。厚生労働省は急性期病院の在院日数を短縮する目的で、入院患者7人につき看護師1人を配置する「7対1」病院に対して診療報酬を手厚くした。
この措置で10対1病院などから7対1病院への移行が急増し、つれて看護師の争奪戦が熾烈になった。
紹介会社は突っ走った。

ところが06年に5万床弱だった7対1病院の病床数は、厚労省の想定をはるかに超えて増え続け、12年には約36万床にも増えた。
堪忍袋の緒が切れたように、厚労省は今年4月の診療報酬改定で、7対1病院の入院基本料の算定要件に在宅復帰率などを加えた。
7対1削減に入っていく。これで7対1病院が思惑通りに減るのかどうかは不透明だが、紹介会社は先手を打って方向転換を図っていくのではないか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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