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第一三共、早期退職で最大72カ月分が退職金に上乗せ

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第一三共が年内にも早期退職を募ることが明らかになった。国内の事業会社に勤務する35歳以上60歳未満の社員が対象で、最大で72カ月分の給与を退職金に上乗せする。2016年には米国で主力の高血圧症治療薬「オルメサルタン」の特許が切れる。早期退職を通じて固定費を削減し、主力薬の特許切れに備える。
実施するのは「転身支援制度特別措置」で、12月1日から約2週間にわたって退職希望者を募る予定だ。研究開発や生産、営業など全ての部門の従業員が対象になる。
医薬用医薬品を手がける第一三共のほか、大衆薬子会社の第一三共ヘルスケアなど国内のグループ会社でも希望者を募る。
制度の適用者には通常の退職金に加えて、幹部社員で最大60カ月、一般社員で同72カ月分の給与が支給される見通しだ。募集人員は定めないが、数百人規模となる可能性がある。(日本経済新聞 10月29日)

主力薬の特許切れに伴う収益源リスクよりも、高額な退職金がクローズアップされるニュースだ。医薬品メーカーの退職金は高額である上に、割り増し分が最高で給与の5~6年分支給されるとなれば、次の仕事のアテがなくとも不安をもたずに退職できるだろう。

かつて医薬品メーカーの社員には、40代後半で高額な退職金を受け取ってから外資系医薬品メーカーに転じて、高給を得ながら60歳でふたたび退職金を得て、その後はバイオベンチャーなどの役員に就任というコースがあった。

そんなオイシイ時代は終わったようだが、それでも次のキャリアを準備するのに十分な蓄えができるだろう。(リスクを背負わないと果実を得られない)というもっともらしい理屈を振りかざした投資話などに幻惑されないことを祈りたい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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