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リクルート決算発表 売上高1兆1915億円で過去最高

今年も決算発表の季節がやってきました。昨年の今頃はインターンをはじめて直後の菊池君(その後無事に彼は就職が決まりました)と人材業界決算分析をやっていました。昨年の決算まとめはこんな感じ「人材業界の決算が出そろいましたね、リクルート1兆円越え、業界全体が復活 」です。
昨年来「リクルート 決算」と検索すると何故か昨年のブログが上位表示されるようで、私はリクルートとは縁も所縁もないのですが、「リクルートどうなの?」と色々な方に聞かれます。皆さんこの年1回の分析を楽しみにしている人も多いようなので、今年も来週くらいには菊池君の決算まとめ資料が完成して分析に入れるのではないかと思います。その際にはインターン2期生の西山君と佐藤君にもこの辺りの決算まとめノウハウを引き継いでほしいと考えています。

さて、先日上場予定のリクルートHDの決算発表がありました。売り上げは過去最高の1兆1915億円、営業利益は前年▲6%の1174億円だったようです。

リクルート、過去最高の売上高 上場時期は明言避ける(朝日新聞)

リクルートホールディングスが14日発表した2014年3月期決算は、売上高が前年比13・6%増の1兆1915億円で、過去最高だった。景気回復で国内企業が求人を増やす中、「リクナビ」などの人材募集サービスや人材派遣事業が好調だった。
ただ、レジ業務をスマートフォンなどでできる無料サービス「エアレジ」など新規事業の初期投資がかさみ、営業利益は6・0%減の1174億円、純利益は8・9%減の654億円だった。15年3月期は、雇用環境の改善が追い風になるとみており、売上高は8・2%増の1兆2900億円を見込む。
峰岸真澄社長はこの日の記者会見で、売上高に占める海外の比率を、現在の約23%から20年度をめどに50%程度に引き上げる目標を公表した。海外事業の買収などで達成する方針で、資金調達のために株式上場をめざす考えも改めて表明した。ただ、峰岸社長は「粛々と準備をしている」と説明するにとどまり、上場の時期については回答を避けた。

1.売上続伸、海外事業M&A効果あり
昨年度の決算でついに連結売上高が1兆円を超えてビックリした人も多かったと思いますが、今年はさらに続伸して約1兆2000億円に到達しました。売上高の内訳をみると人材メディアは前年比28.2%、人材派遣(紹介含む)は前年比10.8%と好調、人材以外のサービスも遂に3000億円の大台に乗っています。
ただ、この売上内訳を見るとSUMOとかゼクシィとかカーセンサーとか色々メディアを運営されているのだけど、結局のところリクルートは人材サービスで9000億円やっている会社で主力はあくまで人材ビジネス(最大売上は国内派遣3586億円)なのだという認識は変わりませんね。
今年は特に着目すべきは海外派遣2538億(前年比21.1%)です。海外派遣はスタッフマートやCSIなど基本的には買収による拡大路線で来たわけですが、1年間で売上高を500億円積み増し、いよいよリクルートが為替の影響を大いに気にする時代がやってきました。

2.Indeedは影響力あるのだろうか?
2012年に買収したIndeedですが、その後順調にビジター数は伸びている模様です。日本では単なるクローラーコピペ事業として何がしたいのかよく分からないIndeedですが、北米ではIndeed経由の採用決定者がLinked-inを超えて最大になっているようです。
Indeedのビジネスモデルはクリック課金、課金上限設定が可能なために、予算確定型のWEB広告という位置づけです。日本では成功報酬型の求人掲載サイトが複数あり、競争力があるのかよく分かりませんが、じげんの運営する「転職EX」の無料版的な機能になっているような気がします。「何でもまとめればいい」というじげんモデルを無償化してしまうことで崩壊させる狙いがあるのかどうか分かりませんが、日本ではユーザーの少なさそうなサービスです。
北米でどのように活用されているのかは気になるところです。

3.10月上場のようです、持ち株会の皆さん、おめでとう。
先日日経新聞やブルームバーグが一斉に「6月申請、10月上場」を報道しましたが、どうやら株主の皆様にもうじき嬉しいニュースが届くようです。リクルートの株主は持ち株会が20%程度、ついでDNP、凸版印刷、電通、博報堂、三井物産、日テレといった企業が5%程度保有しています。上場すると社員の中からも結構な数のミリオネアが誕生しそうですね。
さて、今後のリクルートが目指す方向としては人材ビジネスグローバルNO1、世界を見渡すとアデコが2兆円、ランスタッドが2兆5000億円、マンパワーが2兆2000億円程度と、リクルートとは1兆円ほどの開きがあります。
日本市場では派遣ビジネスはもはや独禁法に引っかかりそうなシェアがありますので、今後も派遣事業の投資は海外メインであることは間違いありません。
最近の積極的なM&Aと売上高伸長スピードを考えると、「5年以内にリクルートがグローバルNO1の人材ビジネス企業になる」こともできるのではないかと期待しています。
いずれにしても持株会の方おめでとうございます。上場したらおごってください。


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三上 俊輔

著者情報:
三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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