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富士通、間接部門5000人を営業・SEなどに異動

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10月26日、富士通は国内のグループ全体で総務や人事、経理など間接部門の約5000人を、営業やSEなどの職種に異動させる人事を発表した。海外事業の不振などを受けた事業構造転換の一環だが、5000人のうち、どれだけが異動先の職種に適応できるのだろうか。富士通と競合する大手ITベンダのSEは語る。
「国内の大手ITベンダは、SE職として新卒で採用した社員を基本的にはゼロから教育し、ある程度現場で使えるようになるまでには、少なくても3~5年くらいはかかります。ただ、この目安はあくまで学習意欲に湧く“20代のド新人”という前提なので、果たして間接部門の経験しかない30代後半~50代の人間にも当てはまるのかといえば、難しいところでしょう。
ただ、富士通やウチのような大手ITベンダのSEというのは、自分でプログラミングをしたりするのではなく、下請けの開発会社を使いつつ顧客と折衝していくマネジメントの仕事がメインなので、新人に戻ったつもりで死ぬ気で努力すれば、なんとかなるかもしれませんが」
こうした声を踏まえると、退職に追い込まれる社員が一定数出ると考えられるが、富士通も割増退職金を支給する希望退職に対応する方針だというから、それを見込んでいるのだろう。
(ビジネスジャーナル 11月24日)

日本経済新聞(2018年11月30付)に、NECが募集した希望退職に2170人が応募したと掲載された。希望退職者の対象は45歳以上で勤続5年以上の従業員を対象で、来春までに、取引先への転籍や事業売却を含めると約3000人がグループから退職する予定だという。
富士通の5000人異動ニュースと同様に、大手企業の間接部門では大量の余剰人員が発生しはじめている。背景はRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の普及である。定型的な事務作業をRPAで処理すれば、24時間365日稼働できる。間接部門の従業員の労働時間短縮に寄与するだけならまだしも、余剰人員を発生させ、リストラに進行しているのだ。
その一方で、外国人労働者に頼らざるを得ない業界もあるが、産業間の労働力移動はそう簡単に進まない。転職活動中の大手企業の管理職経験者が人材紹介会社を訪問すると介護施設を紹介される例もあるが、なかなか応募には至らないという。賃金水準の格差だけでなく、キャリアチェンジを図るにはこれまでと距離が開きすぎているのだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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