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就職氷河期対策、効果検証を=雇用保険の財政悪化警戒-経団連提言

経団連は17日、政府が来年の通常国会で法改正を目指す雇用保険制度見直しに関する政策提言を発表した。政府が掲げる「就職氷河期世代」対策に、職業能力の開発を目的とする「雇用保険2事業」の保険料(使用者が負担)などの積立金を活用する際は、政策目標の明確化や効果の検証が必要だと訴えた。
また、失業手当や再就職手当に充てる雇用保険の保険料(労使折半で負担)と国庫負担をめぐり、政府が検討している時限的引き下げの延長は、財源を確保するため最長2年に限定すべきだと主張した。

政府は6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」で、30代半ば~40代半ばの「就職氷河期世代」の就労支援を重点課題に掲げた。職業訓練などの一部財源に雇用保険2事業の積立金を活用することが検討されており、提言では「(類似の)既存事業の検証を行い、本来の役割である雇用のセーフティーネット機能を逸脱しないよう努めるべきだ」と強調。安易な積立金の取り崩しにくぎを刺した。
(時事通信 9月17日)

全世代型社会保障の観点から今後の焦点になるのが、就職氷河期世代の正社員登用問題である。
就職氷河期世代(2019年4月時点で大卒者37~48歳、高卒者33~44歳)は、総務省の統計では18年時点で1689万人。15~64歳人口に占める割合は22.4%で、35~44歳のフリーターは52万人、非正規労働者は317万人。合わせて372万人にも達する(18年時点、厚労省調査)。

このままでは20~25年後で“年金収入ゼロ世代”が発生しかねず、生活保護の対象になれば社会保障財政は維持できない。高齢化問題のピークは予想では2040年だが、引きつづき厄介な社会保障問題が控えている。

西村稔経済財政・再生相は日本経済新聞のインタビューに対して(日本経済新聞9月19日付)、従業員501人以上の企業を対象に中途採用人数の比率を公開する方針を示した。「情報開示することで雇用流動化が進むことに期待したい」という。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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