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三井住友海上、社員の異動応募制に 来年4月から

三井住友海上火災保険は2025年4月に人事制度を刷新する。社員は少なくとも4年に1回、自らが希望する勤務地やポストに応募する必要がある。希望するポストに就くためのスキル習得も後押しする。社員個人が持つ特性や能力を見えやすくして経営に生かす。
全国の部支店が募集するポストや社員に求めるスキルを示し、社員は自身が習得したスキル、希望のキャリアに沿って応募する。人事部は介在せず、部支店と社員が直接面談し、異動を決める。
 家族の事情などで地方勤務の経験しかない人も、スキルの習得次第で部長や役員に就ける道を開く。部支店は社員から選ばれるような職場づくりや働きやすい環境整備がより必要になる。
 異動希望が殺到したり、逆に応募がなかったりする部署が生まれる可能性もある。24年度中に人事部などが課題を洗い出し、制度開始後も状況をみて対応する。
(日本経済新聞 5月19日)

 三井住友海上火災保険の内情は分からないが、大手企業には経営幹部への最短距離が担保されたような花形の部門、支社、支店などがある。異動希望先を応募する制度を開始すれば花形に応募が集中するのかどうか。
 花形を望む社員もいるだろうが、むしろ転職や独立を見据えて必要なスキルを習得するために、例えば財務部門やDX部門などへの異動を希望する社員が多いのではないだろうか。
あるいは活躍している社員が多い部門や事業所は、多くの社員とって異動したくなるだろう。
 これに関連した調査がある。この記事と同じ三井住友海上火災保険が2024年3月に20~30代の会社員を対象に実施した「挑戦に関する意識調査」(対象800名)によると、回答者の約6割が「上司・先輩が挑戦していないとモチベーションが下がる」と回答。一方、回答者のうち若手社員の約7割が「挑戦している上司・先輩のもとで働きたい」と回答。 挑戦している上司・先輩は「かっこいい」と憧れの対象になるという。
 しかも「挑戦する上司」と働く若手社員は、約8割が成長を実感すると回答している。異動先の希望を応募すれば、各人のキャリアアップ計画に加え、上司や先輩の働き方も候補先の磁力になりそうだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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