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女性役員3割、9%どまり プライム12月期企業 政府目標遠く

東証プライム上場の12月期決算企業のうち、取締役会で女性役員が30%以上を占めるのは19社(全体の9%)にとどまっていることが分かった。女性役員が1人以上いる企業は約190社(93%)で、政府が目標とする「2030年に女性役員比率30%以上」の達成には社内外を問わず一層、積極的に女性を登用することが必要になる。
宝印刷が12月期決算の206社について女性役員(取締役、監査等委員、監査役、執行役)の割合を調べた。日本企業は欧米企業に比べて女性役員の比率が低く、政府は男女共同参画の推進などの観点から比率向上を求めている。
3月の株主総会ではルネサスエレクトロニクスが女性の社外取締役を1人増やした。取締役6人のうち2人が女性となり、女性役員の比率は政府目標の30%以上を満たすようになった。前年に女性取締役がいなかったキヤノンは消費者庁長官などを務めた伊藤明子氏を社外取締役に招いた。
(日本経済新聞 5月2日)

2013年の調査だが、独立行政法人労働政策研究・研修機構「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査」によると、女性が昇進を望まない理由に「仕事と家庭の両立が困難になる」や「周りに同性の管理職がいない」などが多かった。
一方、「自分には能力がない」「責任が重くなる」という理由は男女差がなく、男性のほうが多かった理由は「メリットがないまたは低い」「やるべき仕事が増える」だった。
この調査結果について、内閣府の男女共同参画局は「男性の場合は消極的な理由が多いのに比べて、女性の場合は管理職に昇進することで仕事と家庭の両立の難しさを心配している面や身近にロールモデルがいないといった側面が強く、『女性にはチャレンジ精神が足りない』と指摘することは必ずしも的を射ていない」と喝破する。
 仕事と家庭の両立、ロールモデルの存在という課題が解消されれば女性管理職が増えるのか。経済産業省はこれらの課題を解決するには企業単独では限界と考え、「Women’s Initiative for Leadership(通称WILウィル)」と銘打った講座を開設して、女性リーダーの育成に取り組んでいる。
 対象者は10名(10社)。研修内容は①政府関係者、企業経営者、有識者等を講師に招いた勉強会②グループ別政策研究(テーマ案は、GXの実現とエネルギー安定供給の確保、イノベーション創出・スタートアップエコシステムの構築、人材への投資、中堅・中小企業の発展をはじめとした地域経済の包摂的成長、国際秩序の再構築と日本経済。
 同様の取り組みが官民で進めば、女性取締役が継続的に排出されることを期待できる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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