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商船三井、ボーナスをROEに連動 10%で年500万円超

商船三井は従業員のボーナス(一時金)を自己資本利益率(ROE)に連動させる仕組みを導入する。これまでの経常利益を基にした労使交渉からROE連動に切り替えて、従業員に株主視点をもたせ、わかりやすくする。報酬をROEなどの株主価値に連動させるのは役員では広がっているが、従業員まで広げるのは珍しい。
2024年度から約1700人の本社所属の従業員を対象に、新たな賃金制度を導入する。全社ベースのROEから一時金を月例給の何カ月分にするかを決める。ROEが10%ならば従業員平均で500万円超となる。
ROEは企業が株主から預かった資本を使ってどれだけ効率よく稼いだかを示す。35年度までの経営計画ではROEの目標を9~10%としている。株主が重視するROEを指標にすることで従業員にも株主目線を取り入れる。
新制度は経営計画の目標であるROE10%の場合に500万円超となるように設計した。24年3月期のROEは約11%の見通し。ROEが上昇し15%となった場合、約100万円増える。逆に10%を下回った場合は減額される。
(日本経済新聞 4月2日)

商船三井の平均年収は2023年3月期で1517万4365円(平均年齢39歳)。高水準だ。初任給も高水準で、前年から4万円引き上げた31万5000円である。ROE連動型ボーナスの導入で破格の年収にアップする可能性もある。
ROEの改善は部門ごとに作成して全社で取りまとめる経営計画を活用できる。この方法を指導している財務コンサルタントに説明してもらった。
 まず全社連結の流動負債(買掛金)と流動資産(売掛金・在庫)を各部門に振り分ける。固定資産(土地建物・機械設備)は各部門で共通に使用している場合もあるため、各部門の固定費などで大まかに割り振る。各部門は、投下資本(株主資本+有利子負債)に対する利益率であるROIC(投下資本利益率)の改善に取り組む。各部門のROIC改善が全社のROE改善に直結するのである。
 このプロセスを経れば、どの部門の社員もROEを意識して仕事にのぞめるようになる。
さる3月29日、執行役員の報酬制度に経営計画 「BLUE ACTION 2035」で掲げる経営指標を組み入れることを決議し、2024年度から適用を開始すると発表した。
財務KPIには① 連結税引前当期純利益(25年度目標,400億円、35年度目標4000億円)②ネットギアリングレシオ(負債比率/目標0.9~1.0)③ ROE(目標9.0~10.0%)を設定した。
 役員も社員もそれぞれの立場で経営指標を組み入れた業務遂行体制を固めれば、経営参画よりも深い次元で、経営の主体者としての感覚を身につけるのではないだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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