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春闘の賃上げ5・28%、33年ぶり5%超…中小企業は4・42%

連合が15日公表した2024年春闘の第1回集計結果で、賃上げ率(回答数771労働組合、加重平均)は前年同期比1・48ポイント増の5・28%となった。5%超えは、1991年以来33年ぶりとなる。
 基本給を底上げするベースアップ(ベア)分は1・37ポイント増の3・7%だった。連合は24年春闘で、ベア3%以上、定期昇給を合わせて5%以上の要求方針を掲げたが、いずれも水準を上回った。賃上げ額は4625円増の1万6469円、ベア分では4600円増の1万1507円だった。
 連合の芳野友子会長は15日の記者会見で、「経済も賃金も物価も安定的に上昇する経済社会へのステージ転換にふさわしいスタートを切れた」と話した。
 組合員数300人未満の中小企業の賃上げ率(358労組)は4・42%となり、全体を下回った。中小企業では今後、組合と会社側の交渉が本格化する。深刻な人手不足などを背景に、大手企業では組合の要求を超える回答や満額回答が相次いでいるが、中小企業の回答が増えると、賃上げ率は第1回集計から下がる可能性がある。
(読売新聞オンライン 3月15日)

 中小企業も賃上げも進んでいる。連合が発表した春季労使交渉の第1次集計(対象・組合員数300人未満の労働組合)で、賃上げ率は4.42%に達した。
連合は「物価高のくらしへの影響、人手不足の現場への負荷など、足元の状況も踏まえ、月例賃金にこだわった組合の要求と粘り強い交渉の結果であると評価する。交渉に真摯に応じ社会の期待に沿った回答を決断した経営側にも敬意を表する」とコメントを出した。
 その一方で、懸念されている価格転嫁は課題として残された。公正取引委員会は「独占禁止法又は下請法に違反すること又はそのおそれを認定したものではない」と断わったうえで、労務費、原材料価格、エネルギーコストなどの上昇分の取引価格への反映について、価格の交渉の場で協議することなく、 従来どおりに取引価格を据え置いた企業を10社公表した。
社名が公表されたのは、イオンディライト、SBSフレック、京セラ、西濃運輸、ソーシン、ダイハツ工業、東邦薬品、日本梱包運輸倉庫、PALTAC、三菱ふそうトラック・バス。
 社名公表を受けて、京セラは次のメッセージを発表した。
「当社は、これまでも、お取引先様からの値上げ要請に対しては真摯に対応し、双方納得した上での価格決定に努めてまいりました。今後も引き続き、お取引先様とより一層の積極的なコミュニケーションを図ることで、相互信頼にもとづくパートナーシップの構築に注力してまいります」
 社名公表に不服を表明したわけではないが、事実関係の有無が明確に記載されていないなど踏み込みが弱い。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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