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オムロン、国内外で約2000人削減 構造改革で

オムロンは26日、収益力改善に向けた構造改革計画を策定し、総人件費の適正化のため国内外で約2000人を削減すると発表した。国内ではグループで1000人程度の希望退職者を募る。7月20日時点で勤続3年以上かつ40歳以上の正社員などを対象とする。  
構造改革計画は2024年4月から25年9月までを「業績の立て直し」と「収益・成長基盤の再構築」に集中する期間と位置づけた。制御機器事業の営業利益率最大化、事業ポートフォリオの最適化なども進め、通期連結業績で25年度には23年度見通し比で約300億円の固定費削減を見込むという。
(ロイター 2月26日)

 チャイナリスクのあおりを受けたオムロンは2度にわたって下方修正を発表した。制御機器事業はグローバルで製造業における設備投資需要の低迷が継続したことに加え、販売代理店における在庫調整の影響を受け、電子部品事業は民生業界向けの需要低迷が続いた。
営業利益はインフレ影響による人件費の増加などを受けて、前年同期比で大きく減少した。
 このリストラ発表の7日前の19日、オムロンは「人的資本調査2023」(共催・HRテクノロジーコンソーシアム、HR総研、MS&ADインターリスク総研)で、人的資本経営品質ゴールドを初めて受賞したことを発表した。
「人的資本経営の推進」「PDCAサイクルによる実践」「戦略的開示と対話」の項目で高い評価を得たという。オムロンが掲げる人財戦略ビジョンは「会社と社員が、よりよい社会をつくる”という企業理念に共鳴し、常に選び合い、ともに成長し続ける」である。
この取り組みが評価されたのは成果を出したからだろうが、受賞がリストラ発表と同じ時期だったことはタイミングが悪い。人的資本経営がチャイナリスクをカバーできるわけではないが、イメージが霞んでしまう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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