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「メガバンク並み」地方銀行で相次ぐ初任給アップ

地方銀行が相次いで初任給を引き上げている。売り手市場が続く学生の就職活動で、首都圏の企業に学生を奪われ、収益力低下によってかつての人気就職先も人材確保が難しくなっているためだ。引き上げ額は5万円前後にも上り、各行は「メガバンク並み」を売りに優秀な人材を獲得したい考えだ。
 西日本シティ銀行は2024~25年度の新卒採用で段階的に初任給を引き上げる。大学卒総合職は23年度より4万5000円多い26万円となり、若手行員の基本給も上げる。村上英之頭取は「入行3年目までは年収が約2割増える見通しだ」と話す。
 ふくおかフィナンシャルグループ(FG)の傘下3行と九州FGの傘下2行のほか、大分銀行や宮崎銀行も25年度までに大学卒総合職で26万円に増額する。各行は高校卒や短大卒の初任給も引き上げる。宮崎銀は大学院卒を27万円に増額し、デジタル化対応のため、ITに強い理系人材の採用強化を図る。
 各行が初任給を引き上げるのは、メガバンク3行が24年度から大学卒総合職で25万5000~26万円に引き上げるからだ。西日本シティ銀は例年、新卒者の2~3割が関東・関西圏の学生で、担当者は「メガバンクとの競合は避けられない」と話す。各行は25年春の採用活動が本格化するまでに「メガバンク並み」の待遇をPRしたい考えだ。
(読売新聞オンライン 2月17日)

 情報サイト「就職エージェントneo」によると、メガバンクの平均年収は、三井住友銀行が842万円、三菱東京UFJ銀行が773万円、みずほ銀行が729万円、りそな銀行が662万円である。
地方銀行の平均年収は、上位は横浜銀行の794万円、千葉銀行の704万円、静岡銀行の704万円、常陽銀行の609万円などメガバンクに遜色ないが、地銀全体では607万円である。メガバンクに比べて、おおまかに見て150万円ぐらい低い。
昨年5月に金融庁は「金融仲介機能の発揮に向けたプログレスレポート」を発表して、地方銀行と第二地方銀行のあり方を提言した。このレポートによると、従業員満足度調査で、待遇・処遇(年収等)への満足度が相対的に低い傾向にある点は職階を問わず共通していたという。
 業務負荷を考えて満足度が低いのか、メガバンクに比べて年収が低いことが満足度を下げているのか。
 金融庁は地銀と第二地銀の職員が高齢化していることも指摘した。一部の銀行で、年齢階級別で50歳代の職員が多く40歳代の職員が他の年代と比べて少ない傾向が特に顕著に見られ、10年後には50歳代の職員の数が現状の約3割程度を占める可能性がある銀行もあったのである。
 それだけに若年層の増員と定着が問われている。メガバンク並みの初任給に引き上げる措置だけでなく、離職防止対策もさまざまに打っていかなければならない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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