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副業での自治体勤務促す 月4日、居住の必要なし

総務省は民間企業の社員に地方自治体での副業を後押しする。月4日ほど自治体で働き、地域・行政の課題解決に必要なノウハウを提供してもらう。2024年度から国が給与や交通費を補助する制度を始める。副業を通じた官民交流を促す。
企業が自治体に人材を派遣する「地域活性化起業人」制度に副業型を新設する。自治体のホームページ運営など主にリモート対応が可能な分野で、都市部のデジタル人材らに働いてもらうことを想定する。
現行制度は企業と自治体が協定を結び、月の半分以上は受け入れ自治体に滞在して働く必要がある。企業から要件を緩めて制度を使いやすくするよう求める声があった。
副業型は企業に所属する個人が協定を結び、月4日・20時間以上を自治体業務に充てる。受け入れ自治体での滞在日数も最低月1日とする。居住の必要をなくし参加のハードルを下げる。
派遣人材の給与として自治体が企業に払う経費について国が1人につき最大で年100万円を補助する。自治体への交通費や宿泊費も最大100万円まで国が助成する。
(日本経済新聞 2月11日)

東京都は、3年以内(最少5年)をメドに民間企業からの人材受け入れを公募している。
給与は派遣元企業の負担で、都の業務に本格的に従事してもらう。都によるとメリットは、企業にとっては、ネットワークの構築、新たな事業ニーズの発見、行政実務の理解。都にとっては、企業等庁外の動向把握、都庁組織の活性化、ネットワークの構築にあるという。
 一方で地方自治体には、職員の兼業を促す流れにある。
地方公務員の兼業は、地方公務員法第38条で①営利団体の役員等を兼ねること②自ら営利企業を営むこと③報酬を得て事業又は事務に従事すること――については許可なく従事することができない。
同法をベースに長野県は「職員の地域社会貢献活動」として副業の許可要件を①本来の職務遂行に支障がないこと(勤務時間外、休日等における活動)②活動団体等との間に特別な利害関係(契約、補助、指導・処分等)が生じるおそれがないこと③営利を主目的とした活動、宗教的活動、政治的活動、法令に反する活動でないこと④報酬は、社会貢献活動として許容できる範囲内であること――と定めている。
 職員が従事した副業の対象は、スキーインストラクター、学校部活動で技術指導、 音楽活動による長野県魅力発信、中山間耕作地維持 活動、通訳ガイド、日本語教室における日本語指導など。どんな成果を得たのかが開示されるとよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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