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都内企業の社長の平均年齢は62.96歳 前年比0.19歳上昇

東京商工リサーチがまとめた東京都内の企業の社長の年齢調査によると、2023年の平均年齢は62.96歳で前年から0.19歳上昇した。09年の調査開始以降で最高だった。後継者の不在や業績不振などで世代交代が進まなかった。
 調査が始まった09年と比べると平均年齢は2.65歳上昇した。23年の年齢別の割合をみると70代以上が32.9%で最も多かった。次いで50代(25.3%)、60代(25.2%)の順となった。
企業業績は社長が高齢になるほど鈍化する傾向があるという。社長の年齢が30代以下の企業は67.5%が直近の決算で増収だった一方、70代以上は42.7%にとどまった。東京商工リサーチは社長の年齢と企業業績について「社長が70代以上の企業は保守的な発想が成長の停滞を招いている可能性がある。業績不振で世代交代に踏み切れないケースも多い」としている。
調査は同社の企業データベースから23年12月時点の代表者の年齢データを分析した。「社長」は個人事業主や理事長などを含む。
(日本経済新聞 2月10日)

社長の平均年齢が上昇しているのは、社会保障政策を背景に生涯現役路線というムードが形成されたことに起因しているだろう。
アンケート調査を実施すると、高齢の社長が現役をつづけている最大の理由は後継者不在である。65歳を過ぎた社長を取材すると、バトンタッチを意識しながらもプレーイングマネジャーとして走りつづけ、それがために後継者が育たず、一向に引退できないという責任感も見えてくる。人によっては日常に張り合いをもてる現役に対する固執もあろう。
だが、これは本人の問題にすぎない。オーナー社長でなくとも長期政権を敷いている社長は、社内ではいわば雲上人である。業績が好調ならメインバンクも顧問税理士も世代交代を提言しにくい。
しかも意見の具申がタブー視されている会社もけっして珍しくない。ボトムアップによるイノベーションが起きにくいのは必然で、成長力が潜在している会社でも具現化されない。
現下の生涯現役ムードは後継者不在を助長し、廃業が増加すれば人材な経済損失を発生させかねない。有力な選択肢はM&Aだろう。昨今はM&Aアドバイザリーサービス会社がテレビコマーシャルを打って事業承継目的のM&Aを促しているが、円滑な事業承継を期待したい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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