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「正社員の壁」人手不足でも 非正規から転換7%どまり

非正規社員から正社員への転換が進まない。正社員になりたい人のうち、実現できたのは7%前後にとどまる。人手不足感は高まっているのに、人材のミスマッチで非正規からの採用は伸び悩む。日本は主要国に比べて正規と非正規の給与の差が大きい。日本全体の賃金が低い要因になっている。
「いまパートで働いているなら募集要項の給料より下げていいですね」。埼玉県に住む三浦直美さん(仮名、32)はある会社の最終面接でこう.言われて言葉を失った。
(中略)
 パートや派遣社員の正社員化が進まない。リクルートワークス研究所によると正規雇用を望む非正規のうち2022年に正社員になったのは7.4%だった。調査を始めた16年から横ばいのままだ。
 総務省によれば非正規は22年に2101万人いる。前年より26万人増えた。正社員は1万人の増加にとどまり、雇用者全体に占める非正規の割合は36.9%まで上昇した。シニア雇用の増加もあるが、「派遣切り」が社会問題化したリーマン・ショック直後の09年よりも3.2ポイント高い。
(日本経済新聞 1月21日)

 
 いまや40代後半にさしかかった就職氷河期世代が40代を迎えた頃、非正規雇用が多いこの世代に対して正社員化を進める機運があった。この機運を推し進める同一労働・同一賃金の議論も交わされているが、リクルートワークス研究所の調査結果をみると、いまだに絵に描いた餅のようだ。
パートタイム労働法第12条は「通常の労働者への転換の推進」として「正社員への転換を推進するための措置(正社員の募集を行う場合のパートタイム労働者への周知、新たに正社員を配置する場合のパートタイム労働者への応募の機会の付与、正社員への転換のための試験制度等)を講ずること」と規定している。
 厚生労働省によると、非正規雇用労働者(有期契約労働者・パート労働者・派遣労働者等)の「キャリアアップ」とは、非正規雇用労働者の人材育成、公正な処遇の確保、正社員(正規雇用)転換等を図ることである。
キャリアアップ助成金も設けて「正社員化コース」として、有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合1人当たりの助成金は、大企業に対しては80万円、中小企業に対しては50万円を交付している。
この助成金がどこまで知れわたっているかどうかはともかく、人手不足がつづくなかで正社員への転換が進まないのは、低コストで済む非正規雇用の拡充で人員を賄いたという意図もあるのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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