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地方公務員の採用試験、過去30年で最も低い5・2倍…23年間で競争率半減

2022年度の地方公務員の採用試験の倍率は5・2倍(前年度比0・6ポイント減)となり、過去30年間で最低となったことが総務省のまとめで分かった。少子化に加え、待遇などへの不満から受験者数が減ったことなどが要因とみられる。
 対象は全国の都道府県、政令指定都市、市区町村の事務職や技術職などの職員で、教員は含まない。受験者数は43万8651人(同2万6377人減)で、8万4804人(同4878人増)が合格した。辞退者もいるため、採用者数は6万2286人だった。
 就職氷河期世代が新卒だった1999年度は14・9倍と倍率が10倍を超えており、約20年間で競争率が半減したことになる。電子データで統計が残る94年度以降では、これまでは2019年度の5・6倍が最も低かった。
 総務省は、自治体側に長時間労働の是正やテレワークの活用など柔軟な働き方の実現を促しており、優秀な人材の確保につなげたい考えだ。
(読売新聞オンライン 1月14日)

 地方公務員の就職人気が低下していることは、毎日新聞の調査でも明らかになった。1月15日付け同紙によると、「大学卒業程度」を対象とする直近5年(19~23年度)の職員採用試験についてアンケートを実施した。  
アンケートには、自治体ごとに行政職や技術・専門職などの採用区分は異なるが、全ての都道府県が直近5年で「採用予定数割れとなった区分があった」と回答。 23年度は、大阪府と兵庫県を除く45都道府県で採用予定数割れが生じ、38道県では他の自治体や民間企業に流れる「採用辞退」があったという。
採用が難しい職種区分は、土木(46自治体)▽獣医(44自治体)▽林業(32自治体)▽建築(30自治体)▽電気(30自治体)などが多く、10自治体は一般行政職の採用も厳しくなっていると答えた。
昔から公務員の就職人気は雇用情勢に反比例する傾向がある。民間企業が採用を抑制すれば公務員人気が高まるが、人手不足の慢性化で民間に人材がシフトする流れはしばらくつづくのだろか。公務の魅力をもっと強力にPRしないと―――。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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