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職探すシニア 10年で2.2倍 職種ミスマッチ解消重要に

仕事を探す65歳以上のシニア層が急増している。ハローワークで職を探す有効求職者は25万人と10年間で2.2倍になった。長い老後を過ごすために働かざるをえない面もある。労働人口の減少を踏まえ、人手不足の解消につなげる工夫が欠かせない。
「70歳までは働きたい。家にずっといると体もなまってしまうし、完全に仕事から離れるのも不安だ」。長く勤めた会社の延長雇用が2023年11月に満了した男性(66)は12月半ば、ハローワーク池袋(東京・豊島)で職探しの手続きをしていた。
シニア向け窓口には、毎日100人を超す求職者が相談に訪れる。「70歳代や80歳代の人も目立つ」と担当者は話す。
ハローワークで仕事を探す人は徐々に高齢者にシフトしている。有効求職者を年齢別にみると、01年から18年は25~29歳が最多でフリーター対策など若者の雇用先確保が重視された。現在は65歳以上が逆転した。
有効求職者について23年1~11月の平均値を10年前と比べると、25~29歳は10万人減って19万6000人となった。一方で65歳以上は14万人増の25万6000人だった。
(日本経済新聞 1月4日)

生産年齢人口を70歳までカウントする時代が目前に迫っている。雇用義務は65歳までだが、70歳までの終了を希望する層が増えているのだ。
総務省によると、2022年の65歳以上の就業者数は912万人。21年より3万人増えて1968年以降で過去最多を更新し、就業者の7人に1人を高齢者が占めた。就業率は、65〜69歳は50.8%、70〜74歳は33.5%に上昇した。
就労の目的は生きがいの追求だけでなく、年金だけでは生活設計が困難で、しかも物価高に対応しなければならないという切実な事情があるのではないのか。
人手不足を反映して、シニア層の求人も増加傾向にある。50歳以上のシニア転職支援のシニアジョブ(東京都新宿区)が運営する求人メディア「シニアジョブ」に掲載される求人数は、2023年12月12日に1万件を超えたという。
1万件の雇用形態には、正社員の求人が46.7%と最も多く、平均給与は年収375万円、職種は多い順に「調理」「介護職」「看護師」だった。これらの職種は専門職が、1万件のうち、未経験歓迎の求人は33.4%、無資格OKの求人は24.9%だったので、介護助手や看護助手の募集なのだろう。これらの職種は外国人労働者の雇用で賄う以外にないのが現状である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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