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転勤有無、3年ごと選択 一般職など廃止  三井物産

三井物産は22日、来年7月1日に新たな人事制度を導入すると発表した。世界規模で転勤がある「担当職」と、転勤のない、いわゆる一般職に相当する「業務職」を廃止し、「総合職」に一本化。その上で、転勤ありのコースか、転勤のない勤務地限定のコースかを原則3年ごとに選べるようにする。  
社員が意欲やライフプランに応じ、多様な働き方を自ら選べるようにする狙い。転勤ありのコースは、勤務地限定に比べ基本給が最大1割多くなる。  
業務職の給与は底上げされ、従来できなかった管理職にも挑戦できるようになる。かつては担当職の補助的な位置付けだったが、近年は業務内容の難易度が上がり、担当職の業務内容と密接不可分になっていた。23年3月末時点の業務職は999人。  
また、総合職の仕事内容を、前線で取引先と事業に当たる職務、データ分析や資料づくりを担う職務、総務や経理などの職務の三つに分類し、柔軟に選べるようにする。
(時事通信 12月22日)

 転居をともなう転勤を昇進のために避けられないステップとして受け入れる社員は少数派になった。親の介護や子供の通学問題だけでなく、数年単位の転居をライフスタイルとして望まない人が年々増えているようだ。昇進よりもライフスタイルに優先順位が変わったのである。
 現に「マイナビ 2024年卒大学生就職意識調査」(調査回答数4万1197件)で「行きたくない会社」(2項目を選択)の設問に対して、最多(38.2%)は前年につづいて「ノルマのきつそうな会社」だったが、2番目(29.6%)が「転勤の多い会社」だった。08年卒から23年卒までは「暗い雰囲気の会社」が上位2項目に入っていたが、「転勤の多い会社」に入れ替わった。
 若年層の志向性に加えて働き方改革が、転勤を選択制に切り替える流れを促している。採用時にも転勤の選択制が大きなアピール要素になってゆく。さらにいえば転勤が常態化していた時代は本人にも会社にも費用負担が生じていたが、その負担も解消される。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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