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保育士らの賃上げ検証 年1回報告義務付け

こども家庭庁は2025年度から保育所などに職員の給与実態の報告を義務づける。データベースをつくり公表する。保育士らの処遇改善の取り組みを検証しやすくし、人材確保や「保育の質」の向上につなげる。
今国会に提出する子ども・子育て支援法改正案に盛り込む。認可保育所や認定こども園、一部の幼稚園などを対象に年1回、都道府県への経営情報の報告を義務にする。
収支や職員一人ひとりの給与実態、職員配置の状況の報告を求める方向だ。経営の「見える化」につなげ、実際に保育士らの処遇が改善したかなどを検証する。
 これまでも経営実態調査を通じ職員給与や収支は集計してきた。任意調査のため回答しないことも可能で、19年度調査の回答率は55・3%にとどまった。
 新たに集めたデータは子育て支援サイト「ここdeサーチ」で開示する予定だ。利用者が選ぶ際の参考になるように、施設ごとのモデル賃金の公表も検討する。
 保育の現場での人手不足は深刻さを増す。
 保育士の22年度の有効求人倍率は2・46倍で全体の平均(1・31倍)に比べ高かった。厚生労働省の調査によると、22年時点の保育士の平均月収は26万800円と全産業平均の31万1800円を下回っている。
(日本経済新聞 2月8日)

 賃上げ状況の検証は医療関連職でも実施される見通しである。中央社会保険医療協議会が2月7日の総会で了承した2024年度診療報酬改定の附帯意見案の28項目に、医療関係職種の賃上げ検証が盛り込まれた。
附帯意見には「看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種を対象とした賃上げに係る評価について、各医療機関における賃上げが適切に実施されているか、実態を適切に把握した上で、検証を行うこと」「40 歳未満の勤務医師及び勤務歯科医師並びに薬局の勤務薬剤師、 事務職員や歯科技工所で従事する者等についても賃上げの実態を適切に把握した上で、 検証を行うこと」と書かれた。
中医協は次回の総会で厚生労働相に対して改定内容を答申するが、附帯意見も合わせて提出する。
賃上げ状況の検証については医療業界に反対意見が多かったが、診療報酬の支払い側である健康保険組合連合会が強く求めていた。1月19日に開かれた公聴会でも、マツダ健保組合の朝倉進常務理事が、検証できる仕組みの実現を主張した。
医療関連食の賃上げには公費が投入されるのだから、検証するのは必然だろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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