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10月の実質賃金、19カ月連続の前年割れ 最低賃金引き上げでも

厚生労働省が8日発表した10月分の毎月勤労統計調査(速報)で、物価の影響を考慮した働き手1人あたりの「実質賃金」は前年同月より2・3%減だった。19カ月連続の前年割れ。10月は最低賃金の引き上げがあり、名目賃金にあたる現金給与総額も伸びたが、物価高に追いつかない状況が続いている。  
現金給与総額は27万9172円で1・5%増だった。22カ月連続で前年を上回った。最低賃金は全国加重平均で現行制度となった1978年以降で最高の4・5%引き上げられた。こうした影響も、賃金全体の伸びの一因とみられる。  
基本給などの所定内給与は1・4%増の25万2825円。賞与を含む「特別に支払われた給与」は、7・5%増の6881円だった。
(朝日新聞デジタル 12月8日)

 12月14日に与党税制大綱が決定し、企業の賃上げに対する税優遇枠の拡大が示された。来春の賃上げが物価上昇をカバーできるかどうか。
 内閣府の消費動向調査によると、この11月の「収入の増え方」は 0.3 ポイント低下し 38.8 となった。11 月の消費者マインドの基調判断は「改善に向けた動きに足踏みがみられる」という。
 値上げラッシュがつづいた1年だったが、帝国データバンクの調査では、食品の値上げは11月末時点で1596品目。22年同月時点の翌年予定数6785品目と比べて8割減で推移した。23年中旬にかけて段階的な価格転嫁(値上げ)が浸透し採算性の改善が進んだほか、一部食品では値上げ後に販売数量が減少するなど消費者の「値上げ疲れ」が影響したほかに、PB品など廉価品への購買意欲が高まった。
その結果、夏以降に値上げの勢いが鈍化している。帝国データバンクは「物流費の上昇など引き続き値上げ圧力もある」と指摘しながらも「大規模な値上げラッシュは24年春まで概ね「収束」傾向で推移するとみられる」と見ている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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