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育児しにくい企業、パパ去る 仕事と両立求め転職

育児を理由に働き方を変える男性が増えている。夫婦で平等に家事や育児を担う考えが若い世代を中心に広がっていることが要因で、長時間労働が常態化し柔軟な働き方ができない企業からは転職・退職を選ぶケースもある。男性の人材流出を防ごうと、業務や風土の見直しにより残業を抑制したり、働く親のネットワークを強化したりする会社も出てきた。
(中略)
 若い世代の意識は変わりつつある。国立社会保障・人口問題研究所が独身の18~34歳を対象に夫婦の理想の働き方を尋ねた調査では21年に男女とも初めて、妻が出産後も働き続ける「両立コース」が出産を機にいったん退職する「再就職コース」を逆転して最多になった。男性側の増加幅が大きく、「両立」を選んだ割合は21年、1987年の約4倍になった。
 共働きするなら家事・育児の分担は欠かせないが、日本は海外に比べて夫の家庭参画が遅れている。内閣府が23年に発表した「生活時間の国際比較」によると、欧米諸国では女性が費やす家事・育児などの無償労働時間は男性の1・5倍程度だが、日本は5・5倍だ。
(日本経済新聞 11月6日)

 子供をもつ会社員にとって転勤は、単身赴任を選ばないと転校をともなう。4~5人の経験者に聞くと一様に「子供にかわいそうなことをしたのではないか」と吐露してきた。
ただ、彼らが現役を過ごした昭和の後半から平成の中頃にかけては会社第一主義の時代。転勤の辞令に従うことが当然で、「かわいそうだな」と思いつつも、子供の通学を理由に躊躇するという気分にはならなかったようだ。まして育児のために退職することなど発想すら湧いてこなかった。
会社とはそういうものだ――そう割り切って辞令に従う芯からの会社人間だったのだ。しかしアッという間に会社と社員との関係は変化する。旧世代は男性社員の育児を理解するようになっても、育児優先の就労体系への変更に対して感覚がついていけないと聞く。となれば、仕事と家庭生活を両立させる就労体系の作成と運用は若い世代に任せる以外にない。老いては子に従え。この教えを実行することだ。
現状では、日本経済新聞社の「スマートワーク経営調査」によると、主要企業の男性の育児休暇取得率が、前年の33・5%から14ポイント増えて5割に迫った。次回の調査ではさらに一段と増えるだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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