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組合員数200万人超の金属労協、ベア「月1万円以上」の統一要求

自動車や電機業界などの労働組合で作る全日本金属産業労働組合協議会(金属労協)は、2024年春闘で基本給を底上げするベースアップ(ベア)の統一要求額を「月額1万円以上」とする方向で最終調整に入った。23年の6000円以上を大きく上回り、ベアの要求額のみを掲げるようになった1994年以降で最高額となる。 
金属労協は、自動車総連、電機連合、基幹労連、ものづくり産業労働組合JAM、全電線の五つの産業別労働組合(産別)で構成し、組合員数は200万人を超える。統一要求額は産別の要求作りの指標となる。
 今月22日の幹部会議では結論を先送りし、調整を進めていたが、12月6日に開く協議委員会で正式決定する方針だ。
 物価変動を加味した実質賃金は9月まで18か月連続でマイナスとなっている。金属労協は、物価高に賃上げが追いつかない状況を踏まえ、高水準の統一要求額を掲げ、組合員の生活を支える必要があると判断した。
 24年春闘に向けては、労組の中央組織である連合は10月、ベア3%以上、定期昇給分を含めて5%以上の賃上げを求める基本構想をまとめた。
(読売新聞オンライン 11月27日)

デフレ脱却に向けて、岸田文雄首相は賃上げのメッセージを繰り返している。11月15日に開かれた経済界や労働団体との政労使会議で、2024年春闘で23年を上回る水準の賃上げを実現するよう要請した。
28日には参議院予算委員会で、公明党の上田勇議員に質問された減税措置の意義について「賃上げに向けて官の決意と覚悟を示すことで、国民にも賃上げとの相乗効果を実感していただく」と答弁した。
賃上げに連ねる経済政策は22年11月に策定した「資産所得倍増プラン」である。家計の資産所得倍増に向けて7本柱の取り組みを推進すると打ち出した。
7本柱は①家計金融資産を貯蓄から投資にシフトさせるNISAの抜本的拡充や恒久化②加入可能年齢の引上げなどiDeCo制度の改革③消費者に対して中立的で信頼できるアドバイスの提供を促すための仕組みの創設④雇用者に対する資産形成の強化⑤安定的な資産形成の重要性を浸透させていくための金融経済教育の充実⑥世界に開かれた国際金融センターの実現⑦顧客本位の業務運営の確保。
「貯蓄から投資へ」への喧伝は1960代前半にさかのぼるが、60年が経過してもなお投資が進まないのは、リスクマネーが国民性にマッチしないからだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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