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大正製薬HDの早期退職、従業員7%の645人が応募…全員が9月末までに退職

大正製薬ホールディングス(HD)は10日、5~8月に実施した早期退職の募集に計645人の応募があったと発表した。海外も含めたグループ従業員の約7%に相当し、全員が9月末までに退職した。
 組織のスリム化と生産性の向上が狙いで、10日に発表した2023年9月中間連結決算に、退職金の割り増し分などとして約60億円の特別損失を計上した。
 早期退職の対象は大正製薬HDと国内のグループ会社で勤続3年以上、満30歳以上の正社員。応募者には通常の退職金に特別加算金を上乗せして支給し、希望者の再就職も支援した。大正製薬HDが早期退職者を募集するのは18年度以来、2度目だという。
(読売新聞オンライン 11月10日)

 
大正製薬ホールディングスは早期退職募集の理由を「今後の持続的な成長に向けて生産性の高い組織構築を進めていくための施策の一環」と発表した。黒字リストラである。対象が30歳以上なので、若い社員は転身を図りやすい。中高年社員も割り増し分を含む退職金の水準で折り合いをつけ、退職した人もいるだろう。
同社の2024年3月期第2四半期連結累計期間(4~9月)のグループ全体売上高は、1630億9700万円(前年同四半期比12.9%増)と好調である。さらに通期連結業績予想を修正した。
売上高 は従来予想の予想から45億円引き上げて3190億円。 主要な修正点は、セルフメディケーション事業について、円安により予想より50億円引き上げること。営業利益は20憶円引き上げて205億円、経常利益は30憶円引き上げて250億円、当期純利益は早期退職優遇制度の実施による特別損失を加味して25億円減の105億円に修正した。
 それにしても30歳で早期退職の対象にされる時代に入ったことは、20代後半には次のキャリアを考えることを迫っている。雇用の流動化がさらに進めば、転職は産業界内の人事異動のようになるのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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