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「転職で給料増えた」過去最高を更新

転職したら前職より給料が1割以上も増えた――。そう回答した転職者の割合が過去最高になったという調査結果が出た。
 コロナ禍によるリストラなどで少なくなっていた「年収アップ転職」のチャンスが、人手不足の中で回復していることをうかがわせる。「お金による人材の奪い合い」は、今後増えていくのかもしれない。
この結果は、転職支援サービス「リクルートエージェント」が調査した2023年7月~9月の「転職時の賃金変動状況」によるもの(結果は11月2日発表)。前職と比べ賃金が明確に(1割以上)増加した転職者数の割合は、全体で35.3%と過去最高を更新した。
 この数字はリーマンショックの2009年度には18.9%にまで落ち込んでいたが、2018年度には30.1%にまで増加。コロナ禍の2020年度にはふたたび20%台に落ち込んでいた。背景には休業リストラによる人余りがあったかもしれない。  
これが2021年7月~9月になると、30.5%とコロナ前の水準に回復。その後の2年間でも急速な右肩上がりを続けており、今後も過去最高を更新しそうな勢いだが、伸びの傾向は業種によってやや異なっている。
(JCASTニュース 11月6日)  

官民挙げての賃上げ促進がつづくのに、勤務先の賃金が思うように上がらないことを容認できなければ、転職によって引き上げられる時代になった。
IT業界に特化した転職エージェントComputer Futures(東京都中央区)が2021年に手がけた転職案件の年収アップ率は、元の年収が低いほどアップ率が高かった。300~499万円が35%、500~699万円が16%、700~899万円が14%、900万円~1099万円が4%、1100万円以上が2%。1000万円までならばワンランク上の年収を手にできる。
人材の流出を防ぐには、転職による年収アップ分を現行の給与に上乗せするのも手段のひとつかもしれない。
一方、年収アップ率が高かった職種のトップ3は、ソフトウェアエンジニア、テクニカルサポート、コンサルタントだった。ソフトウェアエンジニアとテクニカルサポートは絶対数が足りず、コンサルタントは有能な人材が足りない。
 労働人口が減少してゆく時代、労働市場はますますの売り手市場へと移行する。求人需要の高い職種と有能な人材にとって、転職は年収アップのチャンスだ。雇用の流動化は年収アップによっても進むのである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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