Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

野村アセット、議決権行使基準改定 社外取締役を過半に

野村アセットマネジメントは1日、議決権行使の基準を改定したと発表した。取締役会における社外取締役比率の最低基準を原則過半としたほか、東証株価指数(TOPIX)100構成企業を対象にESG(環境・社会・企業統治)に関する独自基準を新設した。企業のガバナンス改善を促し、投資リターンの向上につなげる。
社外取締役比率の最低基準をこれまでの3分の1から、過半に引き上げる。国内では最低基準を3分の1とする運用会社が多く、野村アセットによると過半に引き上げるのは同社が初という。野村アセットの今村敏之責任投資調査部長は「社外取締役比率を3分の1とする企業が増えるなか、より高い目標を持ってもらう必要があると考えた」と話す。
TOPIX100構成企業を対象に、ESGに関する独自基準も新設した。必要な情報開示ができているかといった観点で評価し、基準を満たさない場合は取締役選任議案に反対することもあるという。投資先企業が対応する時間を確保するため、社外取締役比率の最低基準とESG基準の適用開始時期は2024年11月以降とする。
(日本経済新聞 11月2日)

 上場企業の取締役会の審査がいちだんと厳しくなってゆく。その先陣を切ったのが野村アセットマネジメントである。
野村アセットは、本議決権行使基準で以下の要件をすべて満たす企業の取締役会を「モニタリング・ボード」と定めている。① 取締役の人数が5 名以上20名未満②社外取締役が過半数③社外取締役が過半数を占める指名・報酬委員会(法定・任意を問わない) を設置し、社外取締役が議長に就任④女性の取締役が取締役の人数の10%以上⑤買収防衛策を導入していない ⑥政策保有株式を過大に保有していない⑦監査役会設置会社の場合、取締役の任期が1年 ⑧支配株主がいる場合、取締役会議長は社外取締役。
この基準がスタンダードになる日もそう遠くはないだろう。
さらに野村アセットはESG対応など「望ましい経営」を規定した。その実現への取り組みが不十分と指摘し対応を促したにもかかわらず、十分な改善が見られないうえに、その状態が企業価値の向上と持続的成長を妨げている場合は、会長・社長などの取役再任に原則として反対する方針を示した。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。