Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

「週休3日制」はこれから広がる?

新型コロナウイルス感染対策をきっかけに、テレワークなど多様な働き方を導入する企業が増えています。中でも「週休3日制」は、より柔軟な働き方として大手企業を中心に採用が広がっています。子育てや介護を抱える世代の離職防止や、増えた休日をリスキリング(学び直し)などに充てることで社員のスキルアップにつながる可能性もあります。ただ、シフト制の職場や人手の少ない中小企業では導入へのハードルが高く、制度によっては働く時間が減ることで収入が落ち込む可能性があります。どうやって給与を維持するかが課題となりそうです。
 週休3日制は、週7日のうち3日休む働き方です。休日を増やしても週の労働時間を変えない「圧縮労働型」、労働時間を減らすことで休日を確保するため給与も時間に応じて減額する「給与削減型」、休日を増やし労働時間を減らしても給与は変わらない「給与維持型」の3パターンがあります。
 大手企業約1600社を会員に持つ経団連は、生産性向上のために「働き手の主体的な学びが必要」と訴え、自己啓発のための時間確保として希望する社員が週休3日で働ける「選択的週休3日制」の導入が有効だとしています。
(信濃毎日新聞デジタル 10月30日)

政府は「骨太方針2023」に選択的週休3日制度の普及を取り上げ、人事院も週休3日制の対象拡大を勧告した。週休3日制導入のペースはともかく、普及に向かっている。だが労働時間が短縮される分、収入が減少しかねないという懸念材料もある。働く会社員はどう考えているのか。
「Job総研」が今年5月、589人の社会人男女を対象に実施した「2023年 週休3日制の意識調査」にれば、全体の92.3%が「無条件での週休3日制」に賛成派を回答した。「収入が減っても賛成派」は全体の29.7%、「労働時間が増えても賛成派」は全体の60.6%。さらに78.6%が「生産性が高まる」と回答し、88.5%が仕事に対して「意欲が上がる」と回答した。
 反対派からは「プライベート時間が増えても、年収が下がるようでは暮らしがなりたたない」「制度自体は良いと思うけど世界に対する競争力低下につながらないかが不安」「週休3日を実現できる業務フローの構築が必要なので困難だと思う」などの意見が出た。
 週休3日制の導入は業種によって差異が出るだろうが、プライベートの充実が必須の時勢だけに、採用にも大きく影響しそうだ。週休3日制が導入されれば副業に充てる時間も確保でき、新たなキャリア開発のチャンスにもつながる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。