Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

エネオス、割増賃金増 50代管理職対象、若手登用

 ENEOSは50歳代の管理職を対象に、早期退職時の割増金を増額する制度を導入した。同社は2022年にジョブ型の人事制度に移行しているが、管理職のポストが空いておらず、年齢構成の偏りが課題だった。新陳代謝を促し、若手社員の登用につなげる。
製造部門以外で働く50歳代の約1300人の管理職が対象。定年までの年数に応じて支給している退職割増金を増額する。増額の割合などは明らかにしていない。
6月から8月にかけて第1弾の募集を実施したところ、対象人員の15%にあたる200人程度が応じた。早期退職により空いたポジションには年齢を問わず社員を登用することで、終身雇用を前提とした年功序列型の雇用形態からの脱却を進める。
ENEOSの親会社であるENEOSホールディングス(HD)の22年3月期の純利益は1437億円だった。原油高もあり足元の業績は堅調だが、脱酸素や電気自動車(EV)の普及で主力製品であるガソリンの需要は減るとして、事業構造の転換に取り組んでいる。
(日本経済新聞 10月25日)

 ENEOSの業績は好調で、2023年度 第1四半期実績(2023年4月~6月)の営業利益は、エネルギー事業の増益を主因に前期比の77億円増となった。この時期に50歳代の約1300人の管理職を対象に早期退職を募集して、応じたのは15%の200人に過ぎなかったのはやむを得ない。業績が転げ落ちてゆくのではないのだから、50歳を過ぎていれば定年退職まで勤め上げたいと考えるものだ。
現在進行中の第3次中期経営計画(23~25 年度)には、人事制度の重点施策として役割等級制度とコース別人事制度が示されている。
役割等級制度では、経営戦略に基づいて設定されたポストに、年齢問わず抜擢することで ダイナミックな人材シフトと登用をめざし、全管理職および管理職候補の社員が就きたいポストを申告する「ポストチャレンジ制度」を運用する。
コース別人事制度は、コース毎に求められる役割やキャリアを明示し、各人材像に適した評価や育成をピーディーに実行する。高度専門コースを新設し、市場価値と連動した報酬の提供が可能になるという。
 ENEOSの大卒採用者の4割が経験者採用で、事業ポートフォリオ転換に向けた能力開発 、リスキリングの推進によって、事業ポートフォリオ転換を可能にする人材を育成するという。
 

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。