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サントリーHD、来年も7%賃上げ、新浪社長「いい人材取る」

経済同友会の新浪剛史代表幹事は20日の記者会見で、社長を務めるサントリーホールディングス(HD)の令和6年の賃金引き上げについて、基本給を一律に底上げするベースアップ(ベア)を含め、月収ベースで今春の妥結水準と同じ約7%とする方針を明らかにした。物価上昇率を上回る大幅な賃上げによって「社員に安心して生き生きと働いてほしい」と強調した。
同社は今春闘で5年ぶりにベア(月額1万円)を実施しており、ベアを含む賃上げは2年連続となる。新浪氏は昨年末に今春闘での6%の賃上げを表明し、最終的に定期昇給と合わせて約7%で妥結した経緯がある。
前年よりさらに早い時期に賃上げ幅を示す意図について、新浪氏は「予見性を高めることがさらに重要になってきた」と説明。深刻な人手不足を背景に厳しさを増す人材確保を理由に挙げ、「いい人材は(賃金水準の開示が)早ければ早いほど取りやすく、戦略的でないと(獲得競争に)負けてしまう」と述べた。
大幅な賃上げについては「業績との見合いも考えたが、仮に業績が今よりも悪くなってもやらないといけない」と述べ、不退転の決意を示した。
(産経新聞 10月20日)

連合の芳野友子会長は、来年の春闘でベースアップと定期昇給を合わせて「5%以上」の賃上げを要求する方針を発表した。今年の春闘の賃上げ率は平均で3.58%だった。吉野氏は毎年持続的に着実に上げていくことが重要と強調した。
この方針に対して、経団連の十倉雅和会長は、物価上昇が続いていることを理由に「5%でなく5%以上としたことは労働運動論として理解している」と述べた。一方、全労連は来年の春闘の要求方針構想で、今年と同じく賃上げ率10%以上を求める方針を発表した。
しかし中小企業は歩調を合わせられる状況にない。日本商工会議所の小林健会頭は連合の方針に理解を示しながらも「中小企業においてはなかなか難しいのでないか」と実感を述べている。さらに小林氏は、大企業が取引の価格を適正に見直すことが重要と付言した。
運送業界では、運送会社が荷主企業に持ちかける運賃値上げの相談に対して、値上げを受け入れる姿勢を示すケースが増えているという。ただ、取引価格の見直しは業界にもよるが、基本的に政治が主導しない限り進まないだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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