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未熟練労働者、3年で特定技能 技能実習廃止へ最終案 有識者会議

外国人技能実習制度の見直しを検討する政府の有識者会議(座長=田中明彦・国際協力機構理事長)は18日、同制度の廃止と、「人材確保」に主眼を置く新制度の創設を求める最終報告のたたき台をまとめた。
 未熟練労働者として受け入れた外国人を3年間で一定の知識・技能が必要な「特定技能1号」の水準に育成する方針を掲げた。外国人の中長期的な就労を促し、人手不足の解消につなげる。  
新制度は、未熟練労働者として受け入れる対象を、建設や農業など特定技能と同じ分野に限定。外国人が業務の中で習得すべき主な技能を定め、試験などで評価する仕組みを導入する。技能や日本語能力の試験に合格すれば、最長5年滞在できる「1号」への移行を可能とした。不合格でも再受験のため最長1年の在留継続を認める。
(時事通信 10月18日)

技能実習制度に代わる新制度の最大の焦点は転職の取り扱いである。有識者会議の提言には「『やむを得ない事情がある場合』の転籍については、その範囲を拡 大・明確化し、手続を柔軟化する。その上で、転籍が認められる範囲や そのための手続について、関係者に対する周知を徹底する」と書かれた。
ただ、最初の受け入れ先企業は初期費用を負担し、1年後に退職されたら持ち出しになってしまう。新制度はこの点に配慮して、本人の意向により転籍を行う場合、転籍前の受入れ企業が負担した初期費用について、転籍前・転籍後両者の不平等が生じないように、各企業が外国人の在籍期間に応じてそれぞれ分担することが示された。
また、外国人が借金を負って来日している悪弊を解消するため、最初の受け入れ先には、外国人が来日の費用負担も求める。
2022年7月に発表された出入国在留管理庁の調査によると、来日前に母国の送出機関に何らかの費用を支払っている技能実習生は約85%。支払費用の平均値は52万1065 円。
来日前に母国の仲介者(送出機関以外)に何らかの費用を支払っている技能実習生は約1 1%であり、支払費用の平均値は33万5378 円だった。こうした費用負担に対して、来日前に母国で借金をしている技能実習生は約55%。平均値は54 万7788 円だった。
新制度によって受け入れ先企業が負担する来日費用負担の範囲はどこまでなのか。負担額によっては、受け入れをためらう企業も出てくのではないだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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