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副業社員、地方に派遣 リクルート・三井化学など連携

リクルートや三井化学など国内企業8社が、副業者の地方への派遣や相互受け入れなど、新たな人材育成手法の普及に向けて連携する。地方の企業に大手企業の有する多様な人材活用への道を開き、地方創生を後押しする。大手企業が率先して副業を活用すれば、副業が日本に広がる契機となる。
経団連が2022年に会員企業を対象に実施した調査(回答275社)では、副業を認めている企業の比率は53%だった。認める予定の企業も含めると70%に達する。企業の垣根を越えた副業の活性化を通じて、先進的な人材の育成ノウハウや成功事例を共有できるようにする。
地方での副業は、8社を含め国内企業500社以上が参加する連携組織「人的資本経営コンソーシアム」の会員企業の社員と、副業の受け入れを希望する地方企業とを仲介する仕組みを検討している。
社員が多様な社外経験を通じて将来のキャリアのヒントを得るほか、地方創生への波及効果なども視野に入れている。
(日本経済新聞 10月1日).

 この記事にある取り組みも企業が副業を解禁していることが前提である。いまもなお副業を禁止している理由は何だろうか。
リクルートの調査によると、従業員の兼業・副業を禁止する理由は多い順に「従業員の長時間労働・過重労働を助長する」「従業員には本業に集中してもらいたい」「労働時間の管理・把握が困難」「情報漏えいのリスクがある」「労働災害の場合の本業との区別が困難」「人手不足や人材の流出につながる」「競業となるリスクがある」「利益相反につながる」などだった。
厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」で「労働者が労働時間以外の時間をどのように 利用するかは、基本的には労働者の自由」と明記している。
そのうえで①労務提供上の支障がある場合②業務上の秘密が漏洩する場合③競業により自社の利益が害される場合④自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合に該当する場合――を挙げている。
副業の可否を採用の要件に示せば、副業禁止の企業も解禁に動くだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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