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みずほFGが転勤一時金を増額、単身赴任なら3倍に

 みずほフィナンシャルグループ(FG)が来年4月から、引っ越しを伴う転勤について、社員に支給する一時金を2~3倍に引き上げることがわかった。転勤に抵抗感を持つ社員が増えるなか、人材をつなぎ留める狙いがある。
 みずほFGでは会社が命じた転勤で、一定の条件を満たす場合には社員に一時金を支給している。
 みずほ銀行の場合、社員が家族を伴って転勤する場合、一時金を従来の15万円から30万円に、単身赴任の場合は8万円から24万円にそれぞれ引き上げる。独身者についても8万円から15万円に増やす。これに加えて、月額数万円の転勤手当も増額する。
 みずほFGは来年度から、傘下の銀行や証券など主要5社の人事制度を統一する予定で、今回の見直しが適用されるのはグループ全体で約4万5000人に上る。
 全国各地に支店を配置しているメガバンクなど金融機関大手は、全国規模で社員を転勤させることが一般的だ。しかし、共働き世帯が増えるなか、子育てや介護などを理由に転勤に難色を示すケースが増えてきた。一連の引き上げを「転勤受け入れのインセンティブ(動機付け)」(みずほFG幹部)にしたい考えだ。
(読売新聞オンライン 9月26日)

三菱UFJ信託銀行は「赴任支度料」を10万円程度支給していたが、新たに転居を伴う転勤をする社員に一律50万円を支給する。
ただ、転勤にまつわる問題は経済的負担だけではない。子供の教育を含めてライフプランに支障が出てしまい、できれば転勤を避けたいと考える風潮が顕在化して、厚生労働省も対策に乗り出した。
省令改正によって2024年4月以降は、求人を出すときに将来の勤務地や仕事内容を示すことを義務付ける。従来から厚労省は「転勤可能性の有無や地域的な範囲、時期、回数、一つの地域における赴任期間、本拠地の有無など、転勤の有無や態様について原則や目安が共有されていれば、労働者は自己のキャリア形成等についてある程度の中長期的な見通しを持つことができる」と見解を示していた。
滅私奉公の時代なら、転勤辞令に躊躇なく従うのが当然だった。(会社員とはそういうものだ)と割り切っていたのだが、いまは生活が優先される時代である。転居費用や赴任手当を手厚くするよりも、本人の意向を重視した転勤制度の運用が望ましい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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