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勤務先が“不祥事”起こした…「転職」「残留」、どっちが有利?

勤務先の企業が世間を揺るがすような不祥事を起こした場合、転職を検討する人は多いと思います。ただ、「不祥事のイメージがつきまとい、面接で不利になるのではないか」などと考え、転職活動をすべきか迷う可能性も考えられます。
務先が不祥事を起こした場合、転職を検討してもよいのでしょうか。そのままとどまった場合、どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。企業の採用・人事担当として2万人超の面接をしてきた、人事コンサルティング会社「人材研究所」の曽和利光代表が解説します。
「そもそも、勤務先の企業が不祥事を起こした際に転職を検討してもよいのか、それとも我慢して残るべきなのか」「不祥事を起こした企業からの転職を成功させることは可能なのか」などについて、一緒に考えてみたいと思います。  
まず、私自身の周囲で起こったことをお話ししたいと思います。私は大学卒業後、新卒でリクルートに入社しましたが、その頃はまだ「リクルート事件」の裁判中で、新聞やテレビなどで毎日のように報道されていました。事件の真っただ中のときほどではありませんでしたが、会社に対する世間のイメージは非常に悪かったです。
(オトナンサー 9月24日) 

不祥事に関わったのが経営陣の一部である場合、社員は肩身の狭い思いを強いられ、転職活動にも後ろめたさを禁じ得ないだろうが、採用側がその社員を不祥事リスクのある人物とみなすことはない。
戦後最大規模の経済事件に拡大したイトマン事件のあおりで、イトマンが住金物産に吸収された1993年、多くの社員がイトマンを去った。そのひとりである中堅社員は地方銀行に転職した。殊のほか健全なイメージを求められる銀行が、経済事件の当事者となった企業の中堅社員を雇用したのである。
「イトマン出身というイメージは良くないだろうが、イトマン事件は組織ぐるみではなく、役員の一部と闇の勢力が引き起こした事件で、社員は被害者であることを世間は理解していたので、転職活動に支障はなかった。事件について質問されることもなかった」(同中堅社員)
 ただ、ビッグモーターの社員は転職活動で苦しむだろう。多くの店舗スタッフが保険金の不正請求に関わったり、街路樹の伐採に及んだり、上層部の指示があったとはいえ、当事者として違法行為に関わったことがここまで報じられると、応募先の採用担当者が(この応募者は大丈夫か?)と不信に思うのが自然だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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