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介護人材不足、66%の事業所で 財団調査

介護事業所で人手不足感が高まっている。公益財団法人「介護労働安定センター」がまとめた調査によると、人手不足を感じる事業所は66.3%に上った。新型コロナウイルス禍前の2018年以来の水準で前年比3.3ポイント上昇した。処遇改善に努めるものの対策は道半ばだ。
調査は22年10月に介護保険サービス事業を手掛ける全国1万8000の事業所と5万4000人の労働者を対象に実施した。
人手不足を感じる事業所を職種別に見ると、訪問介護員は83.5%と最も高く、前回調査から3ポイント近く上がった。施設で働く介護職員が69.3%、看護職員が47.2%と続いた。
 所定内賃金は月額平均25万3186円で21年度から1万913円増えた。22年に政府が介護人材不足の解消に向け、収入を月額平均9000円程度引き上げる措置を進めたことなどが寄与した。ただ全産業平均に比べるとなお低い水準で、事業者はさらなる処遇改善を求めている。
訪問介護員と介護職員の離職率は14.4%で、21年度比0.1%増とほぼ横ばいだった。働き方の見直しなどで減少傾向にある。採用率は一貫して離職率を上回るものの、その差は縮小しつつある。
(日本経済新聞 9月20日)

 いまや介護職の人手不足に関するニュースを知っても驚きはなく、不測の要因もおおよそ察しがつくようになった。
介護労働安定センターの2020年度調査によると、介護施設の人手不足の理由で最も多いのが「採用が困難である」。その理由で最も多いのが「他産業に比べて労働条件が良くない」で、次に多いのが「同業他社との人手獲得競争が激しい」だった。
労働条件が良くないという回答が指している問題点は「仕事内容の割に賃金が低い」「身体的負担が大きい:」「有給休暇が取りにくい:」だった。
これらの課題も従来から知り尽くされているが、いまもなお解決の道筋を見出せていない。
もっとも人手不足に直面するのは介護業界だけではない。内閣府と財務省法人企業景気予測調査(22年7~9月期)によると「従業員数判断」BSI(不足気味-過剰気味)が、大企業は 24.0%ポイントで、11 年9月末以降 49 期連続の「不足気味」超だった。同様に中堅企業と中小企業も、いずれも「不足気味」超だった。
 この傾向は今後もつづく模様で、内閣府と財務省は「大企業は不足気」超で推移する見通し。中堅企業、中小企業はいずれも不足気味超で推移する見通し」とコメントしている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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