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増えてきた社外取締役、「高圧的」「小遣い目的」など批判・不満も

企業の経営を外部の視点からチェックする社外取締役の「質」が注目されている。コーポレートガバナンス(企業統治)や企業価値の向上に役立つと期待され、人数は増えているものの、本来の役割を果たしていないケースもあるためだ。金融庁と東京証券取引所は秋にも実態をまとめ、社外取が機能するよう促す。
「楽に稼げる大手企業の社外取の募集はないか」
 三井住友信託銀行の調査によると、3社以上を兼務する社外取は全体の22%に上り、東証プライム上場企業では報酬総額の中央値が840万円となった。
 高報酬に釣られてか、取締役会で会社方針に手放しで賛同する社外取もおり、コンサル幹部は「名誉と小遣いが目的で、役割を放棄している人もいる」とこぼす。一方で、「社長をクビにできる」と高圧的になる社外取もいるという。
 かつて国内企業の多くは、社長や副社長ら執行メンバーが取締役を兼務し、社外取もいなかった。経営会議で決めたことを追認するだけの取締役会は「ゴム印」とやゆされた。
 こうした企業風土を変革しようと、東証は2015年に策定した企業の行動指針「コーポレートガバナンス・コード」で、上場企業に社外取を置くよう求めた。
(読売新聞オンライン 8月17日)

社外取締役の求人マッチングサイト「社外取締役名鑑」には社外取締役の求人案件が掲載されている。どんな経歴の持ち主が求められているのだろうか。
一部をピックアップすると、上場市場の名称が以前のままだが、日用品小売業(東証一部、売上高約300憶円)の期待する経歴は「GMS(特にイトーヨーカ堂、イオン)の役員経験者」、投資業(東証二部、約100億円)は「金融機関(特に銀行)の役員経験者で、且つ、東南アジアに知見が深い方」、プラスチック製品製造業(ジャスダック、約100億円)は「自動車メーカー(特にトヨタ、日産、富士重工)の役員経験者」。
そのほかにも「総合商社の役員経験者で、且つ、アメリカの市場に知見の深い方」「弁護士資格をお持ちで、薬事法に知見の深い方」「コーポレート・ガバナンスに対する知見が深い方」など「知見」という言葉が目立つ。
第一級の人材が求められているのだが、この記事によると勤務態度に問題があるという。「名誉と小遣いが目的で、役割を放棄している人もいる」などの人物を排除するには、貢献内容を維持したうえで、厳格に査定することだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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