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管理職、女性は12.7% 厚労省調べ

企業の課長相当職以上の管理職に占める女性の割合が2022年度は12.7%だったことが厚生労働省の「雇用均等基本調査」で分かった。過去最高を更新したものの、21年度からの上昇幅は0.4ポイントと限定的で、国際比較では低い水準にとどまる。
22年10月時点で、従業員が10人以上いる全国の企業6000社を対象に調査した。企業規模別では従業員数が10~29人の企業が21.3%と最大だった。
300~999人の企業は6・2%、1000~4999人の企業は7・2%、5000人以上の企業は8・2%といずれも1割に満たなかった。
大企業における女性管理職の割合は総じて低い割合にある。
全体の数字でも国際的に低い水準が続いている。労働政策研究・研修機構によると、21年の日本の女性管理職割合は13・2%だった。スウェーデンは43・0%、米国は41・1%、シンガポールは38?1%と欧米など主要15カ国で最も低かった。
政府は30年までに東証プライム市場に上場する企業の女性役員の比率を30%以上とする目標を打ち出している。
(日本経済新聞 8月15日)

 女性管理職比率と業績に相関関係があるという。経済産業省の調査によると、海外では
女性役員比率が高い企業のほうが、ROE(株主資本利益率)、ROS(売上高利益率)、ROIC(投下資本利益率)などが高い傾向がある。日本でも、女性の活躍推進に取り組んでいる「均等推進企業表彰企業」は、株式パフォーマンスがTOPIX平均を上回る水準で安定して上昇する傾向を見出せる。
 さらに育児介護支援や柔軟な職場環境推進に取り組む企業は、何もしない企業に比べて粗利益率が2倍以上高く、ワークライフバランス推進の取り組みには、企業のTFP(全要素生産性)向上に寄与する傾向がある。
 女性管理職比率向上は焦眉の課題ともいえるが、管理職をめざす女性社員が増えないことにはどうにもならない。
経営コンサルティング会社・識学の「管理職に関する調査」(20~59歳の会社員300名/管理職150名、非管理職150名)によると、「管理職になりたいと思う」という回答は、男性が12%、女性はわずか4%。「管理職になりたくない」理由は「出世欲がないから」50.9%、「責任が伴うから」50%、「仕事量が増えるから」42.6%だった。
 管理職をめざすかどうかは本人の志向性だが、現状維持派が多いと産業界全体の活力にマイナスである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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