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初任給33年ぶり1万円超増 国家公務員、志望者減で勧告

人事院は7日、国家公務員一般職の2023年度の給与を引き上げるよう、内閣と国会に勧告した。月給の上げ幅は、最も多い行政職で平均0.96%(3869円)とした。22年度の0.23%を大きく上回り、1.02%だった1997年度以来26年ぶりの高水準。公務員志望者の減少を食い止めるため、若手ほど上げ幅が手厚く、初任給は90年度以来33年ぶりに高卒、大卒ともに1万円超のアップとなった。  
ボーナス(期末・勤勉手当)は職種を問わず0.10カ月増の4.50カ月分。月給とボーナス両方のプラス勧告は2年連続。物価高で民間給与が上昇しており、水準を合わせる。地方公務員の給与改定の参考となるため、自治体でも職員の給与増が相次ぐ見通しだ。  
官房長官らで構成する関係閣僚会議が勧告を受け入れるかどうかを検討する。受け入れた場合、行政職(平均42.4歳)の平均年収は、10万5千円増の673万1千円となる。
(共同通信 8月7日)

今年の人事院勧告のポイントは①公務組織を支える 多様で有為な人材の確保のための一体的な取組②職員個々の成長を通じた組織パフォーマンスの向上施策③多様なワークスタイル・ライフ スタイル実現とWell-beingの土台となる環境整備。この3つである。
人事院勧告と同時に発表された人事院総裁談話で、川本裕子総裁は国家公務員確保の危機に言及した。
「公務における人材確保は、今、危機的な状況にあります。高い志を持つ優れた人材をいかに公務に惹きつけるか。その鍵は、異なるバックグラウンド、キャリア意識、人生設計を持つ一人一人の職員が躍動し、Well-beingが実現される環境を整備することにあると考えます」
そのうえで、国家公務員の処遇改善を強調した。
「人事院勧告制度は、労働基本権制約の代償措置として、情勢適応の原則に基づき国家公務員の適正な処遇を確保しようとするものです。勧告を通じて国家公務員に適正な処遇を確保することは、国家公務員の士気の向上、公務における人材の確保や労使関係の安定にもつながるものであり、能率的な行政運営を維持するうえでの基盤となるものです」
 ただ、国家公務員人気が下がったとはいえ、定員割れを起こすことはないだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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