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長時間労働が疑われる事業場の監督指導結果を公表 厚労省

 厚生労働省は、令和4年度に長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監 督署が実施した、監督指導の結果を取りまとめた。
 監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり 80 時間を超えている と考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた 事業場を対象とした
 対象となった 33,218 事業場のうち、1万4147 事業場(42.6%)で違法な時間外労働を確認した ため、是正・改善に向けた指導を行った。このうち実際に1か月当たり 80 時間を超 える時間外・休日労働が認められた事業場は、5247 事業場(違法な時間外労働があったものの うち 37.1%)だった。
 そのうち、月100 時間を超えたのが3320 事業場(23.5%)、月150 時間を超えたのが752 事業場 5.3%)、月200 時間を超えたのが168 事業場(1.2%)。
 一方、賃金不払残業があった事業場は3006 事業場 ( 9.0%)だった。
(厚生労働省ニュースリリース 8月3日)

厚労省は、ゴルフ場を運営する事業場(労働者約80人)で、コース管理の業務に従事する労働者が急性心不全で死亡し、長時間労働を原因とする脳・心臓疾患の労災請求がされたため、立入調査を実施した。
その結果、この労働者が発症する前の勤務状況を確認したところ、ゴルフ選手権準備の業務が集中したことにより、36協定で定めた上限時間(月42 時間)を超え、かつ労働基準法に定められた時間外・休日労働の上限時間(月100時間 未満)を超えていた。
さらに最長で1か月当たり136時間の違法な時間外・休日労働が認められた。
違法な時間外・休日労働を放置する会社には、法令遵守を後回しにする価値観が染みついているために、割増賃金も全額を支払わないケースが少なくない。
案の定、このゴルフ場運営会社も、休日労働を行った労働者に対し、休日労働に対する割増賃金を全額支払っていないことが明らかになった。一事が万事なのである。法令軽視体質は致命的な不利益を被らない限り、そう簡単に改まらない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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