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働く高齢者、沖縄・九州で急伸 官民連携で意欲後押し

高齢化が進むなか、「生涯現役」に向けて働くシニア世代が増えている。65歳以上で仕事をしている人の割合は増加傾向が続いており、なかでも九州・沖縄地域の伸びが目立つ。高齢化や人手不足が深刻な地域で、自治体や企業も高齢者が働きやすい環境を整えようと懸命だ。
総務省が5年に1度実施する「就業構造基本調査」から、働いている65歳以上の人の割合を算出した。高齢者の増加や農業従事者の減少もあって、1968年の33・6%をピークに低下が続いていたが2012年に反転。7月発表の22年調査では、全国平均が25・3%と前回の17年より0・9ポイント上がり、12年比では4・0ポイントの上昇となった。
12年に比べた22年の伸びを都道府県別にみると、沖縄県がトップで鹿児島県が2位だった。5位に福岡県、7~9位に宮崎、長崎、熊本の3県が続き、トップ10の半数を九州・沖縄が占めた。人手不足が深刻な地域とほぼ重なる。
(日本経済新聞 7月29日)

 九州の高齢者雇用が伸びている背景として、九州各県と山口県が運営する「九州・山口生涯現役社会推進協議会」の活動にも着目したい。政策提言や情報発信に取り組み、そのひとつに高齢者雇用優良企業の表彰がある。
 表彰された企業は高齢社員が意欲的に働ける雇用環境を整えている。令和4年度の表彰企業からピックアップしたい。
北九州福祉サービス(福岡県北九州市)は、ホームヘルパー社員の定年制を廃止し、個人の能力に応じた業務配分、さらに6段階の勤務時間制度(月120時間 以上160時間未満、月24時間未満ほか)の導入によって、高齢社員が働きやすい就業環境をつくった。
ホームヘルパー社員の賃金は、保有資格と勤続年数で決定し、年齢に関わりない賃金体系を策定。嘱託社員のうち定年後(65歳)も継続勤務する社員には、70歳以降も上限年齢を設けず、本人の希望を受けて1年ごとに契約更新し、長く勤務できるように配慮している。
野中建設(佐賀県佐賀市)は、65歳の定年退職後も希望する社員全員を再雇用している。再雇用社員には、働きがいをもてるように、若手社員の指導役を担うとともに永年勤続表彰も行っている。さらに夏季は平地より涼しく木陰の多い山間部に配置するなど、体力面を考慮した従事先を設定している。
いずれも、たんなる再雇用ではない。働きがいと体力に目を配っている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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