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外国人の訪問介護を検討 人材不足で制度見直し 厚労省会議

介護人材の不足が見込まれる中、外国人が従事できる業務範囲の拡大に向け、厚生労働省の有識者検討会が24日初会合を開き、議論に着手した。
 コミュニケーション面での懸念から認められていない自宅などへの訪問サービスについて、解禁するか検討。年内に制度見直しの方向性を示す。  
外国人の技能実習や特定技能の制度で、介護施設での従事は可能となっているが、自宅に出向いて入浴や食事の介助などを行う訪問サービスは対象外。在宅では、職員が利用者と1対1で業務に当たるのが基本で、言葉の問題などへの懸念が拭えないためだ。しかし、人材不足に悩む現場から見直しを求める声が出ており、検討会は対応を話し合う。認める場合の条件も議論する。
(時事通信 7月24日)

この記事にある厚生労働省の有識者検討会は「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会」。検討会に提出された厚労省資料によると、介護現場からは外国人介護人材の業務拡大を望む意見があるという。
現状は、技能実習生に対しては「介護職種に係る規則」に「利用者の居宅においてサービスを提供する業務に従事させないこと」と明記され、特定技能に対しては「介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に「訪問介護等の訪問系サービスにおける業務は対象としない」と明記され、施設系サービスにしか従事できない。
ただ、もはや背に腹は代えられないのが介護現場の実情である。
外国人介護職を訪問系サービスに従事させる緩和措置の検討に備えて、厚労省は利用者と介護者が1対1で業務を行うことが基本であることを踏まえ、技能実習生に対する適切な指導体制の確保、権利擁護、在留管理の観点に十分配慮する必要がある」と主張したうえで、①適切な指導体制をとることが困難②利用者、技能実習生双方の人権擁護、適切な在留管理の担保が困難――と指摘する。
これだけ強盗や盗難が頻発する世相を踏まえれば、外国人介護職に家庭内の状況を把握されることに抵抗を持つ人がいても、偏見ととがめることはできない。検討会はこの懸念を議論するだろうか?

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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