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日本の女性役員比率、G7で大差の最下位 30%達成ハードル高く

労働力の確保が急務となる中、日本企業も女性登用に取り組む。経済協力開発機構(OECD)の2022年の国際比較で日本の女性役員比率は15・5%と、先進7カ国(G7)では他国に大差をつけられて最下位。政府は「女性版骨太の方針2023」で、東京証券取引所プライム上場企業の役員について、25年をめどに女性を1人以上、30年までに女性比率を30%以上とする目標を掲げるが、道のりは遠い。
内閣府によると、昨年7月末時点で、プライム上場企業のうち女性役員比率が30%を超える企業は2・2%にとどまる。女性役員ゼロは18・7%に上る。 金融市場では環境や社会問題、企業統治に対する企業の姿勢を重視する「ESG投資」が定着してきた。国内外から投資マネーを引き寄せるには、多くの機関投資家が投資判断の材料の一つとする女性役員比率の引き上げが欠かせない。
「ダイバーシティのよさは私も実感している」。ある不動産会社の社長はこう語る。不動産業界では、夜間の地権者との交渉などハードな業務があり、従前は「女性に無理をさせられない」という遠慮があったという。ただ、この社長は「実際には女性が交渉した方が話が進むこともある」と女性の力に期待する。(産経新聞 6月25日

外資系コンサルティングファームの会合に出席したら、同席した役員と各部門長のほぼ全員が男性だった。ダイバーシティ経営を指導する側が、ダイバーシティに遅れているのではないのか。意外だったので、懇親の場で役員にそう投げかけたら「確かにそのことが課題で、女性の昇進機会を増やすことに腐心している」と打ち明けてきた。
女性役員や幹部社員を揃えるには一定の時間がどうしても必要なのだろうが、女性社外取締役の起用はずいぶん簡単に行われている印象が否めない。
相変わらず女性社外取締役に有名スポーツ選手やアナウンサーを起用する例が多いのである。女性起用のアピール効果を狙った人事であることは明白で、もちろん経営に見識をもった人もいるだろうが、起用の根拠が漠然としていて明確ではない。
疑念を避けるためには、東京証券取引所がコーポレートガバナンス・コードに社外取締役用のスキルマトリックス作成を求め、株主に説明がつくように指導したらいかがだろうか。
経営に見識をもつ人まで有名人という理由で、世間からお飾りと見なされるのは本意でないだろう。株主も株主総会で突っ込んで質問を重ねたほうがよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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