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外国人と日本企業つなぐ コロナ後、人手不足強く

外国人材の日本での就職を支援するスタートアップが増えている。2021年創業のNGA(東京・港)は企業と就職希望者をマッチングするアプリの英語版を世界173カ国に投入する。新型コロナウイルス禍からの経済再開に伴い、国内のあらゆる業界で人手不足が強まっている。新興勢は国境を越えた人材獲得を支え、日本企業の活性化を後押しする。
NGAはアプリ「HelloBoss(ハローボス)」の英語版をアジアや欧米などで提供する。(中略)アプリの特徴の一つは米オープンAI(人工知能)「Cht(チャット)GTP」と連携した点だ。入力した希望職種や年収といった条件に応じて求人情報を推薦する。募集要項や履歴書も効率的に作成できるようにした。
(中略)
 日本貿易振興機構(ジェトロ)が会員企業を対象に調査したところ、外国人を雇う日本企業の割合は22年度に初めて5割を超えた。事業変革のきっかけとしての期待も大きい。
 中国の景気減速失業率が高まっているという事情もある。中国国家統計局によると、都市部の若者(16~24歳)失業率は5月時点で20・8%と前年同月から2・4ポイント上昇した。そのなかで日本に働き口を求める若者が増えているという。
(日本経済新聞 7月12日)

 国も外国人材の受け入れ促進を表明している。「骨太方針2023」によると、高度人材等の受け入れ策として、水準の新たな在留資格制度(特別高度人材制度・未来創造人制度)の活用を進めるとともに、海外からの人材・資金を呼び込むためのアクションプラン」を踏まえ、税制や規制などの制度面も含めた課題の把握・検討を行い、高度外国人材等の呼び込みに向けた制度整備を推進する。
さらに特定技能制度の受入れ分野の追加について、分野を所管する行政機関が人手不足の状況等 を示し、法務省を中心に適切な検討を行う。
 一方、外国人材の生活環境の整備に向けて、共生社会の実現もめざすという。「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」等に基づいて①マイナンバーカードと在留カードの一体化②日本語教育の推進体制の大幅な強化・拡充③地域の日本語教育の体制づくり、外国人児童生徒等の就学促進等――に取り組むという。
 スタートアップ企業にも外国人雇用の知見が欠かせない。参考にしたいのがECサイト開発のザ・プラント(東京都港区)の職場環境整備である。同社は日系企業だが、社員72人の9割以上が外国人で、国籍数は10カ国近くに及ぶ。全社共通の価値観を明文化したうえで、昼寝やお祈りなど各国の風習を受け入れ、この10年近く離職者をほとんど出していないという。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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