Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

三越伊勢丹、従業員に人権リスク教育 バイヤーなど600人

三越伊勢丹ホールディングス(HD)は、商品の仕入れを担当する「バイヤー」などの従業員600人を対象に人権リスク教育を始めた。2万社に及ぶ取引先やその先を含めたサプライチェーン(供給網)全体で人権リスクを監視できるようにする。小売業は衣料品を中心に世界の人権リスクへの対応が急務で、国内の百貨店でも同様の動きが広がりつつある。
三越伊勢丹HDは2023年度に入って初めて取引先向けの行動規範を策定した。6月からバイヤーやアシスタントバイヤーなどの従業員を対象に対面での研修を始めた。これまでもeラーニング方式で全社員向けに研修をしてきたが、今回は商談などの実践的な場面を想定。会話の中で人権順守が求められる背景や取引先のリスクを洗い出す手法などを教える。
中国・新疆ウイグル自治区やミャンマーでの人権侵害が国際的に関心を集める中、取引先に強制労働や児童労働の禁止といった同社の人権方針を浸透させる。取引先が行動規範に違反している場合でも、即座には取引停止などに踏み切らず、改善を求めていく考え。
(日本経済新聞 7月6日)

この問題は国内企業にも当てはまる。たとえば外国人労働者に対して不法労働を強いている企業は人権に抵触している。そもそも技能実習制度が海外からは人権問題として扱われているのだから、技能実習生を雇用している国内企業が仕入れ先に含まれているのなら、チェックの対象に入れたほうがよいのではないのか。
さらにいえば、セクハラやパワハラが横行する企業も人権リスクが高いので、これも仕入れ先としてチェックの対象に加えたらどうだろう。実利に直結すれば、少しは改善を期待できるかもしれない。
 人権問題といえば、さる6月14日に成立した認知症基本法では第三条に「全ての認知症の人が、基本的人権を享有する個人として、自らの意思によって日常生活及び社会生活を営むことができるようにすること」と記載された。
 認知症ケアに関わるグループ代表は、基本的人権が記載されたことを評価している。「これまで認知症は医療・介護の問題として捉えられてきたが、人権問題として捉えることが基本である」と。
 福祉政策が根幹はノーマライゼーション(障害者や高齢者などが社会の中で隔離されず普通に暮らせること)である。基本的人権を学ばないと取り組めない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。