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令和4年の申告事案は前年比6.3%増 東京都労働局

東京労働局は、管下 18 労働基準監督署(支署)における令 和4年の申告事案の概要について取りまとめた。
 申告受理件数は前年比 16.3%増の3177 件。 直近 10 年間における申告受理件数の推移をみると、概ね緩やかな減少傾向にあるが、令和4年は令和3年に比較して微増した。
 申告内容では、解雇の申告は減少したが、賃金不払及び労働時間の申告が増加した。賃金不払は2423 件(前年比 16.0%増)。解雇は384 件(前年比14.2%減)。 労働時間は66 件(前年比32.0%増)だった。
 申告を業種別にみると、接客娯楽業が 591 件(全体の 18.6%)と最も多く、次 いで商業が 566 件(全体の 17.8%)、保健衛生業が 330 件(全体の 10.4%)の順。これら3業種で全体の半数近くを占めている。
(東京都労働局ニュースリリースを要約 6月30日)

 申告事案に対して東京都労働局は「労働基準監督署では、労働者が置かれた状況に意を払い、懇切・丁寧な対応に留意しつつ、迅速・的確に処理を行います」と述べている。
申告による監督指導事例として、人材派遣業に対する定期賃金不払の事案がある。退職した労働者から、退職月の賃金がこれまでの賃金に比べて著しく低いとの申告を受けて調査したところ、退職月の賃金から損料が控除されている事実が判明した。労基署は是正勧告を行い、不払いの全額が支給された。
接客娯楽業で発生した割増賃金不払の事案では、退職した労働者から、1日8時間及び週 40 時間を超えて労働していたにもかかわらず、時間外労働に対する割増賃金が支給されていなかったとの申告があった。労基署が調査したところ、実際に割増賃金が支給されていなかったことが判明したため、是正勧告によって不払いの全額が支給された。
解雇事案では、教育・研究業で解雇された労働者から、30 日に満たない7日間の予告期間で解雇されたにもかかわらず、解雇予告手当が支給されていないとの申告を受けた。調査したところ、実際に平均賃金の 23 日分以上の 金額で解雇予告手当が支給されていない事実が判明。是正勧告を行い、不払いの全額が支給された。
ただ、労基署への申告件数は氷山の一角だ。不法行為の解決に心血を注ぐよりも、就職活動に専念する人が多いのが実情で、不法行為を犯す企業もその心理がわかっていて、確信犯のように不法行為に走るのである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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