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三菱UFJ、希望する職場の1日体験

三菱UFJ銀行は行員が希望する職場を1日体験できる制度を始めた。経営企画や市場部門などといった本部の部署のほか、支店での業務にも応募できる。原則として希望通りの部署で職場体験ができる。
新制度の名称は「ミルシル」。2022年度下半期に試験的に実施したところ一定の需要があったため、本格的に進めることにした。
行員が希望した職場の業務に半日程度取り組み、その後に部署の担当者と質疑応答をする日程などを想定する。6月末までに募集して今秋以降に順次実施する。100人以上の応募を見込む。
三菱UFJはポストの公募に力を入れており、足元で行員の10分の1程度に相当する年2000人以上が応募する。1日体験が広がれば、行員が自身のキャリアをより描きやすくなるとみる。
人事制度を巡り、三菱UFJは専門性の確立を支援する人事区分を2024年4月につくる。行員が希望する分野の仕事に継続して携わり、同意のない分野外の異動をなくす制度だ。行員の専門性の習得を後押しする。
(日本経済新聞 6月21日)

適材適所とは会社側の見方だが、社員にとっても自分の担当業務が適材適所かどうかは自覚できる。適材適所の見方が会社と本人が一致することもあれば、異なることもある。
たとえば会社は違う業務を担当させればもっとポテンシャルが開花するのに、現状ではモッタイナイと見ていても、本人が現業務を適所と思っていれば、それが適材適所なのだ。
「させたい仕事」と「やりたい仕事」が一致しなければ、「やりたい仕事」を優先させる配置がよい。2022年9月、リクルートは1万459人を対象に実施した適材適所に関する調査結果を発表した。自分の知識、スキル、経験を職場や仕事内容に活かせているかについて「あてはまる」「ややあてはまる」が、約30~40%に過ぎなかった。
半数以上が活かせていないと思っていることは、人的資本の無駄使いである。AIを活用して無駄を削減する取り組みも進むだろうが、この職場は自分にフィットするかどうか、本人の体感も重要な判断の基準になる。
その意味で、三菱UFJ銀行の1日職場体験は肌感覚で相性を確認できるので、有効な方法である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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