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若手の離職防止に人事管理を改善 22年度の公務員白書

人事院は9日、2022年度の公務員白書を公表した。若手職員の離職が増え、人材確保が難しくなっている中央省庁の現状を紹介。若手をつなぎとめるために人事管理を改善し、一人一人の事情に応じて細やかに支援する方針を示した。  
採用後10年未満で離職したキャリア官僚は20年度に109人で、13年度に比べ43%増えた。また30歳未満職員の半数超は、自らのキャリアアップなどに対し、上司や人事担当者の向き合い方が不十分だと不満を感じていた。  
人事院は「若手は上司に能力向上を支援してほしいと感じている」と分析。人事担当部局や管理職は若手の考え方や不満を把握し、細やかな対応が求められているとした。
(共同通信 6月9日)

国家公務員になるのは受験勉強など相応の投資がともなう。せっかく合格して中央省庁勤務がかなったのに、20代で退職してしまうのは傍目にはもったいないが、本人にとってはそれどころではないのだろう。
しかし、かつては先行きを見通せないとか、働きがいを実感できないとか、毎日が悶々としていても、安定した身分を優先して辞表を出さなかった。転職先も今のように容易に見つからなかった。
ところが今は40歳を過ぎていても、転職先の選択肢が広がっている。キャリ官僚という地位や安定した身分に固執する時代ではない。まして勤め人である以上、人材流動化の流れに国家公務員だけが例外ではあり得ない。
ただ、政府にとっては人材流動化政策を打ち出す一方で、国家公務員の離職が増えることは戦力ダウンになってしまう。政策の流れとは矛盾しているが、流動化に向かっては困るのである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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