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東京都の有効求人倍率は1.79倍、前月より0.02Pポイント上昇

東京労働局が発表した令和5年4月の有効求人倍率は 1.79 倍で、前月より 0.02 ポイント上昇した。有効求人数は34万8172 人(前年同月比19.2%増。21カ月連続で前年同月を上回った。有効求職者数は20万3147 人(前年同月比7.7%減)で、10カ月連続で前年同月を下回った。
 新規求人倍率は 3.56 倍で、前月より0.06 ポイント上昇。新規求人数は11万8004 人(前年同月比15.4%増)で、19 カ月連続で前年同月を 上回った。
主要9産業の新規求人数を前年同月比でみると、宿泊業,飲食サービス業(40.4% 増)、運輸業,郵便業(19.1%増)、生活関連サービス業,娯楽業(15.6%増)、卸売業,小売 業(14.2%増)、サービス業(12.3%増)、情報通信業(10.4%増)、製造業(9.2%増)、医療, 福祉(6.9%増)の8産業が増加した一方、建設業(3.6%減)が減少した。(東京都労働局発表資料を要約 5月30日)

 この調査結果に対して、東京都は「雇用情勢は緩やかに持ち直しているものの、物価上昇等が雇用に与える影響に 留意する必要がある」とコメントしている。個別業種に踏み込んで言及していないが、宿泊業と飲食サービス業の人手不足が突出して多い。
 2つの業種とも需要が回復し、コロナ禍で実施した人員削減の反動に直面している。コロナが第5類に移行したとはいえ、これまで感染が爆発した夏季に感染が再燃しないとも限らない。人員削減によって宿泊業や飲食サービス業を離れた人は、おそらく雇用リスクにさらされた経験を踏まえて、よほど宿泊や飲食の仕事が好きでないと戻らないのではないだろうか。
 帝国データバンクの調査でも、正社員の人手不足割合は「旅館・ホテル」が最も高く83.3%。非正社員では「飲食店」が88.9%で最も高く、次に高いのは「旅館・ホテル」で81.8%だった。
 この実態が反映されたのか、都内の「かつや」に入ったら、キッチン担当の2名、ホール担当の3名の全員が外国人だった。マニュアルが徹底しているらしく、調理もオペレーションも日本人スタッフと変わらず、円滑に運営されているように見えた。
しかし都内の和食店が全員外国人で運営されている光景には、どこか違和感を覚えたものだ。グローバル化および多様化した店舗運営の姿といえばそれまでだが――。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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