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転職希望、コロナで増える「20代がこのままじゃ不安」

「20代をこのまま過ごしていいのか不安になった」。都内のスタートアップで働く20代後半の女性はこう話す。2023年から転職活動を始めて数カ月。新型コロナウイルス禍で業績を伸ばしたIT(情報技術)企業の動きが気になる。「自分も会社も成長できる環境に身を置きたい」
(中略)
 コロナ流行後に転職を希望する人は増えている。総務省によると22年の転職希望者は968万人で過去最高を更新。コロナ前の19年(848万人)に比べ14%伸びた。
 転職支援サイト「ビズリーチ」の21年4月調査では、回答者の66%がコロナで仕事観に変化があったとした。飲食や観光業が打撃を受けるなか、新たなスキルを武器に活躍できる力をつけることが大事だと考える傾向が高まった。
 ただ実際に転職した人の数は横ばいが続く。22年は303万人でコロナ前の19年を除けば300万人前後で変わらない。人手不足が叫ばれるものの、22年の月間有効求人数は247万人と19年比で1割ほど下回る。
(日本経済新聞 5月12日)

 コロナ禍の転職もキッカケは平時と変わらない。エン・ジャパンによると最も多いのは「やりがい・達成感を感じないから」(35%)、次に「給与が低いから」(33%)。いずれも昔から転職に踏み出す契機になっていた。
ただ、コロナ禍では三番目に「コロナの影響で、会社の経営が苦しくなったから」がランクされ、割合も32%と高かった。飲食業や観光業に勤務していて、やむなく退職した人は数多い。
 エン・ジャパンの調査にも「残業がなくなり給料が少なくなったから」「以前は旅行会社に勤務していましたが、コロナの影響をもろに受け、お給料もバイト代ほどしか貰えなくなってしまったため、転職を余儀なくされました」というコメントがあった。
 一方、コロナ禍の転職では、テレワークの可否が重視されるようになった。ITサービス企業などでは、応募者が「テレワークができるのか?」と確認してくるケーズが多いという。新たなワークスタイルが普及したのである。現業部門は無理だが、中途採用ではテレワークの導入が問われている。
 転換期には改めて今後のキャリアを考え直す人もいる。「コロナの影響で、自身の将来を深く考えるようになり、このままでは自分の理想にはなれないと思い、転職を考え始めました」。
 業種別・職種別・年齢別・年収別・役職別などの転職パターンまで踏み込んで調査分析すれば、働き方の実相が見えてくるが、手間のかかる作業なので実施するところは現われにくいだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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