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オリコ、望まない転居を伴う転勤廃止へ

オリエントコーポレーションは、社員の自律的なキャリア形成支援を目的として、2025年4月より、社員が希望するポストや職種を選択する「ジョブポスティング」を導入するとともに、価値観やライフステージに合わせた働き方を尊重するために、社員が望まない転居を伴う転勤を廃止する。
2025年3月期を最終年度とする中期経営計画の重点戦略の一つとして「新たな人財戦略」を策定し、「会社と社員が互いに成長できるWin-Winな関係構築を通じた社員エンゲージメントの最大化」を掲げている。会社と社員がともに必要な存在として絆を深めながら、社員が成長・活躍し、会社が持続的に成長する関係を築き上げていきたいという想いを込めており、その一環として、新たに「ジョブポスティング」の導入を決定した。
「ジョブポスティング」では、正社員を対象に、会社が必要とするポストや職種等を社内で公開し、応募者から人材を選抜する。会社主導による人事異動を見直し、自らの意思で仕事を選び、ポストをつかむといった自律的なキャリア形成支援に向け、社員の本拠地の設定や転居転勤の意向確認など、社内体制を段階的に整えていく。(オリエントコーポレーション作成ニュースリリースを要約 5月10日)

オリエントコーポレーションの「人財マネジメントポリシー」には「自らの成長に繋がる挑戦する機会を提供するとともに自律的キャリア形成を支援」「社員の主体的な行動を促すとことで、組織全体の活力を向上させ、高いパフォーマンスと生産性向上に繋げる」と書かれている。
「自律的キャリア形成「主体的な行動」を突き詰めると、本人が希望しない転居をともなう転勤に抵触する。転勤の辞令に従わないと昇進昇格にマイナスになるような人事では
「自律的」「主体的」を求めているとはいえない。あくまで社員は会社の駒に過ぎないという考え方が人事の根底にある。
 たとえば転居による支障は、中高年社員には家族の介護、若手から中堅社員には子供の教育に生じがちだ。かりに子供を私立の小学校や中学校に入れた場合、転校という選択肢はなく、単身赴任する以外にない。
 しかし単身赴任は家計に結構な負担を強いる。地域にもよるが、単身生活の費用は家賃を含めて月に15万円前後を要する。単身赴任手当は、厚生労働省の調査によると、民間企業の平均が約4万5000円。毎月10万円前後の負担が発生する。昇進昇格のコストとみなすかどうかは本人次第だが、自己犠牲の時代は過ぎ去ったのである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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