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ノルウェー政府年金基金、女性役員ゼロに反対投票


世界最大級の政府系ファンド(SWF)であるノルウェー政府年金基金は今年の株主総会から、女性取締役がいない日本企業の取締役会議長などの選任に反対する。対象になる可能性がある企業は約300社。女性取締役ゼロの企業は経営陣が選任されないリスクが出てくる。巨額の資金を持つ年金が圧力をかけることで、企業や年金の資金を預かる資産運用会社は対応を迫られそうだ。
ノルウェー政府年金基金の運用を担うノルウェー銀行インベストメント・マネジメント(NBIM)が日本経済新聞社の取材に対し明らかにした。
NBIMは2022年時点で1兆2600億ドル(約170兆円)の資金を運用し、そのうち日本企業は1533社、合計約640憶ドル分の株式を保有する。海外投資家の日本株保有分の約4%に相当する。投資先のうち、約300社で女性取締役がゼロという。
企業統治助言会社のプロネット(東京・港)によると、昨年7月1日時点で東証プライム上場1829社のうち、女性取締役がゼロの会社は2割の383社にのぼる。(日本経済新聞 4月20日)

 女性役員登用の外圧を受けて政府も焦っているのか。岸田文雄首相は4月27日に男女共同参画会議で、2030年までにプライム市場上場企業の女性役員比率を30%以上にすることをめざす方針を表明した。6月に固まる「女性版骨太の方針」に反映させるという。
東京商工リサーチによると、2021年度の上場企業3795社の女性役員(取締役、監査役、執行役)は3575人で、全役員の9.0%に過ぎない。どのような手段で30年までに30%に引き上げるのだろうか。
女性活用は中小企業のほうが進んでいない。エン・ジャパンが従業員数300名以下の353社を対象に調査したところ、「5%以下」が63%を超えた。その理由では「社内に女性のロールモデルがいない(少ない)」「女性社員の意識」がいずれも45%で最も多かった。
一方、自治体は女性起用が進んでいる。さる4月23日の統一地方選挙で、東京都豊島区、北区、江東区の3区で初の女性区長が誕生した。東京23区では、品川、杉並、足立の3区が女性区長で、新当選の3人を合わせて6人に増えた。女性区長は4分の1を占める。
24日の会見で小池百合子都知事は「特殊なことではなく普通になってきている」と述べた。
あるいは奈良市では、消防局と企業局を除く部署で、23年度の女性管理職割合が過去最高の35%に達した。
今後は昭和時代の体質が残る団塊ジュニア世代が第一線から退いていくので、女性の台頭が一気に進むのではないだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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