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中途採用比率が最高37% 7年で2倍に、23年度計画

日本経済新聞社が19日まとめた採用計画調査(最終集計)で、2023年度の採用計画に占める中途採用の比率は過去最高の37.6%となり、16年度から7年で2倍に上昇した。中途採用計画人数は22年度実績比24.2%増で、増加率は過去最高だ。日本の標準だった新卒主体の採用慣行は、生産年齢人口の減少を背景に限界が近づいている。
主要企業5097社に採用計画を聞き、4月4日までに未確定とした企業も含め2308社を集計した。新型コロナウイルス禍の収束に伴い、流通・サービス業など現場・対面の業務が多い企業の積極姿勢が目立つ。
毎年度の採用計画人数(翌年春の新卒採用と当該年度の中途採用の合計)に占める中途採用の比率は、17年度まで10%台で推移してきたが、22年度に3割を超えた。23年度の中途採用比率は、非製造業が39・9%と特に高く4割に迫る。製造業は31・1%だった。
中途採用計画人数は9万4430人で、前年度計画比で約2万8000人増えた。伸び率を業種別で見ると、製造業が22・4%、非製造業が24・8%。ホテル・旅行(3・9倍)や鉄道・バス(94・7%増)などの伸びが大きい。(日本経済新聞 4月20日)

 中途採用者は即戦力として稼働することが期待されているが、採用側は採否の基準をどう設定しているのだろうか。
マイナビの調査によると、中途採用担当者が、優秀な人材と評価する要素は「主体性」(52.8%)「問題解決力」(51.8%)「課題発見力」(50.7%)。合否判断時に重視する要素では「問題解決力」(76.9%)「主体性」(76.7%)「傾聴力」(73.2%)だった。
優秀人材評価要素と中途採用の合否判断重視要素ともにスコアが高いのは「主体性」「問題解決力」「課題発見力」だった。
あるスタートアップ企業の採用担当者は「これまでの成功体験や失敗体験のプロセス、周囲の巻き込み方、新規案の取り組み方などを聞き出す一方で、当社に対する質問を促して、業務の認識レベルなどを見る」と話す。
これは一般的な面接手法だが、応募者も用意周到に回答を用意しているから、素性を見抜けないかもしれない。そこで、こんな質問を応募者にする担当者もいる。
「当社に入社して、3年後に当社への転職が成功だったと思えるのはどんな状況か?」
最終判断を下す経営者も含めて、採用に関わるメンバーには目利き能力が問われる。
 今後の中途採用の見通しについて、マイナビ調査担当者は「9割以上の企業が積極的に行うとしており、とくにミドル・シニア世代の採用意向が前年に比べ増加していることは、多くの企業で年齢に関わらず中途採用が積極的に行われることが予想できる」とコメントしている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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